(1)中国人は日本観光で何を買っているのか?
日本への中国人観光客が急増している。
日本政府観光局によれば、中国からの訪日者数は2010年で141.3万人(前年比40.4%増)。
中国人観光客が増加するにつれ、家電量販店や百貨店など、中国人の買い物客でにぎわう場所も増え始めている。では、中国人消費者は日本でどのようなものを買いたがっているのだろうか。
サーチナ総合研究所(上海サーチナ)が2011年6月1-15日にかけて、中国全国の6000人を対象に、「日本への観光」をテーマにインターネット調査を実施。回答者6000人のうち、日本に旅行に行ったことがあるのは1045人。その1045人に対し、「日本で買ったものは?(複数回答)」と聞いたところ、回答結果は次の通りとなった。
◆日本で買ったものは?(複数回答)(回答者は、日本観光の経験がある中国人1045人)
1位:家電製品(炊飯器など)(58.2%)
2位:和菓子、ご当地のお菓子、スイーツ(53.3%)
3位:食品(ふりかけ、梅干し、かつお節など)(48.0%)
4位:AV機器、電子機器(デジタルカメラ、ノートパソコンなど)(39.2%)
5位:化粧品(35.7%)
6位:洋服(31.2%)
7位:美容関連商品(美顔スチーム、目元マッサージ器など)(30.6%)
8位:サプリメント、健康食品、医薬品(28.2%)
9位:観光地キーホルダー、ストラップ(27.2%)
10位:装飾品(腕時計、ネックレス、貴金属など)( 26.4%)
11位:日本の工芸品(25.7%)
12位:ゲーム機、ゲームソフト(24.1%)
13位:アニメ関連商品(コミック、DVD、キャラクターグッズなど)(23.1%)
14位:タレント関連商品(写真集、ポスターなど)(15.2%)
15位:和服(浴衣も含む)(11.9%)
16位:不動産物件(マンション、土地など)(6.2%)
17位:その他(1.7%)
日本でも報道されているように、「家電製品」が多く購入されていることが分かる結果となった。また、「和菓子、ご当地のお菓子、スイーツ」や「食品(ふりかけ、梅干し、かつお節など)」の購入者が多いことも明らかとなった。
(2)“日本観光”未経験の中国人消費者が買いたいものは?
上述のアンケートでは、日本に“観光に行ったことがある”中国人に対して「日本で何を購入したか」を聞いたが、では、日本に“まだ行ったことがない”中国人消費者は、日本でどのようなものを買いたがっているのだろうか。
アンケート回答者6000人のうち、“日本に旅行に行ったことがない”回答者は4955人。その4955人のうち、「日本に行きたい」と回答したのは3507人であった。
その3507人に対し、「もし日本に行ったら、買いたいものは?(複数回答)」と聞いたところ、回答結果は次の通りとなった。
◆もし日本に行ったら、買いたいものは?(複数回答)(回答者は、“日本観光未経験”かつ“日本に行きたい”中国人3507人)
1位:AV機器、電子機器(デジタルカメラ、ノートパソコン等)(51.7%)
2位:和菓子、ご当地のお菓子、スイーツ(49.5%)
3位:日本の工芸品(41.6%)
4位:食品(ふりかけ、梅干し、かつお節など)(40.0%)
4位:家電製品(炊飯器など)(40.0%)
6位:洋服(30.7%)
7位:アニメ関連商品(コミック、DVD、キャラクターグッズなど)(28.8%)
8位:化粧品(27.5%)
9位:装飾品(腕時計、ネックレス、貴金属など)(24.2%)
10位:美容関連商品(美顔スチーム、目元マッサージ器など)(23.3%)
11位:ゲーム機、ゲームソフト(22.6%)
12位:観光地キーホルダー、ストラップ(21.1%)
13位:和服(浴衣も含む)(19.9%)
13位:サプリメント、健康食品、医薬品(19.9%)
15位:タレント関連商品(写真集、ポスターなど)(10.8%)
16位:不動産物件(マンションや土地など)(3.1%)
17位:特に買いたいものはない(2.3%)
(3)中国人観光客向けの販売促進ツールも続々登場
中国人観光客の購買を促進するためのツールも続々登場している。
ウェブメディア企画を行う株式会社イルナは、中国人観光客向けのクーポンサイト「日遊酷棒(リーヨウクーバン)」を2010年12月にオープン。利用者は99元を支払えば、90日間の期限付きでサイト上にある日本の百貨店や家電量販店などのクーポン券を好きなだけプリントアウトすることができる。なお、日本企業のサイト掲載料は無料となっている。
「傑街同歩(ジェイジェストリート)」は、日本国内にある銀聯カード加盟店を紹介するウェブサイトだ。オープンは2008年11月。中国人観光客は同サイトを通して、日本で銀聯カードを使用できる店舗を予め調べることができる。サイト内では共同購入などの企画も用意されている。同サイトによれば、2011年7月時点での登録会員は20万人、サイト内で紹介されている店舗数は1000店舗となっている。
これらのウェブサイト以外にも、中国人観光客向けフリーペーパーが中国の旅行会社などで配布されている。日本の企業や店舗としては、中国人観光客に向けたプロモーションを行いやすい環境が整いつつある。(編集担当:森川慎一郎・サーチナ総合研究所研究員)
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