曾我泰久、思いを語る「音楽に助けられてきた、ぼくが出来ること」
11歳でアイドルデビューし、30年以上過ぎた現在もミュージシャンとして役者として、走り続けている曾我泰久(そが やすひさ)。ジャニーズ事務所時代の“やっちん”という愛称で、今も親しまれ愛されている曾我に、音楽に対する思いを語ってもらった。<br><br>【関連写真】<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0418&f=entertainment_0418_004.shtml&pt=large" target="_blank">直撃! クラシック楽器でポップスを奏でる音楽集団、sources</a>(2012/04/18)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0315&f=entertainment_0315_019.shtml&pt=large" target="_blank">参加ミュージシャン20組超え、震災1年後チャリティーライブ開催</a>(2012/03/15)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0430&f=column_0430_005.shtml&pt=large" target="_blank">曾我泰久インタビュー「今!音楽が一番楽しい」~後編~</a>(2010/04/30)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0429&f=column_0429_005.shtml&pt=large" target="_blank">曾我泰久インタビュー「今!音楽が一番楽しい」~前編~</a>(2010/04/29)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0423&f=entertainment_0423_003.shtml&pt=large" target="_blank">曾我泰久、ソロ20周年記念ライヴで全曲披露!</a>(2010/04/23)<br>"(サーチナ&CNSPHOTO) 画像(1枚)
 11歳でアイドルデビューし、30年以上過ぎた現在もミュージシャンとして役者として、走り続けている曾我泰久(そが やすひさ)。ジャニーズ事務所時代に呼ばれていた“やっちん”という愛称で、多くのファンや仲間たちに今も親しまれ愛されている。
様々なジャンルの音楽人との出会いによってつかんだ感覚や、大震災を通して考えた世界観など、音楽に対する思いを語ってもらった。

――東日本大震災から、1年が過ぎました。「震災1年後チャリティーマラソンライブ」には、どんな思いで参加しましたか?

 ライヴを見ることがチャリティー活動になるつながりを、有意義に思いました。被災者の方たちに協力したい、というみなさんの気持ちを形にするきっかけ作りになれば、という思いで参加したんです。多くのミュージシャンが集まって、その全員が被災地に向けてメッセージを送る気持ちで歌や演奏に臨んだはず。“音楽で通じ合いたい”と思う気持ちが、表れていたライヴイベントでしたね。目線が同じアーティストが集まれたので、年に一度ではなくもっと出来たらいいなと感じました。でも、人それぞれの立場やスピードがあるので、参加していないからダメってことはないんです。まだ真っ直ぐに向き合えない方たちもいるでしょうし、できる人からできることをやっていけばいい。これからも続く問題ですから。

――大震災発生時は何をしていましたか?

 都内でテレビ番組の収録をしていました。今まで感じたことのない揺れ方で、地震だと思わなかった。
その瞬間から……今もそうですけど、エンターテイメントに携わっている人たちが真の部分というか、エンターテイメントって何だろうって考えたと思うんですよ。歌っていいんだろうか、役者は演じていいんだろうかと。僕は震災翌日のライヴは延期しましたが、一週間後の鹿児島ライヴは「来てください」と声をかけていただいて、行こうと決めたんです。飛行機の出発を待つ間、空港のカフェに入ったらビートルズの曲がずっと流れてて。それを聞いたら涙がどんどん出てきて、自分の心がものすごく固まっていたことに気づきました。そして、音楽には大きな力があるんだってことにも気づいたんです。僕はずっと音楽をやっているのに、それを忘れていたのかもしれない。いつも音楽に助けられてきた自分を改めて感じて、これからも歌い続けていかなくちゃいけないと思いましたね。

――震災直後に発表した「こんな時にぼくに何が出来るかな」という曲には、そんな思いが込められているのですね。

 はい。自分自身もずんと落ちた感覚で、何が出来るのか考えていました。そして11歳の時からずっと歌ってきた僕は、歌で貢献するしかないという気持ちを素直に曲にしたんです。
自分の何かを吐き出したかったのかもしれません。簡単なフレーズに聞こえるでしょうが、まずは身近な人を笑顔にしたい、君を笑顔にする勇気を持ちたいということが、一番でした。ああいう状況で人を笑顔にするのは、よっぽどの強さがないとできないと思ったから。被災された方たちは本当に大変だけど、日本全体が同じ思いを感じている中、僕は自分に近い所から何かを始めようという思いで、歌いました。東北のファンの方たちから、連絡をいただきましたよ。そしてファンキー末吉さんが「こういう時だからこそ、音楽を届けるべきだ!」と立ち上がって、発電機を買ってライヴをやっていたので、賛同して連絡を取ったんです。

――曾我さんとファンキー末吉さんの行動力や音楽に、励まされた方たちがたくさんいると思います。

 世間がそういう方向にまだ向いていない時だったので、批判もありました。でもその時の都合でものごとを言って、責任を持たない人っているでしょう。しばらく経って世の中の風潮がそこに向いて来たら、「実はそう思ってた」と後から言い出したりして。ずるいなって感じましたね。僕らの仕事は発言に責任を持つことを要求され、勝手なことはできないんですよね。
震災を通していろいろ考え、音楽に対する思いが1つになったことをきっかけに、ファンキーさんのライヴバーX.Y.Z.→Aで、「music life live」というタイトルのライヴを始めました。観客のみなさんと、コミュニケーションを取りながら歌うんです。絆というか、お互いの手触りを感じられるライヴがやりたくなって。音楽への携わり方が、さらに鮮明になった感覚です。

――ファンキーさんと、ステージに立つ予定はありますか?

 5月4日、横浜 club Lizardでスタートする「LIVE!LIVE!LIVE! TOUR 2012」でファンキーさんをドラム、和佐田達彦さんをベースに迎えます。爆風スランプのリズム隊なので、ゆるぎなく強力ですよ! そして盲目の天才ギタリスト・田川ヒロアキさんにも参加してもらいますが、本当にすごい演奏をするプレーヤーです。このツアーはさいたま、神戸、枚方、名古屋、東京と回りますが、演奏者が変わると景色の違う音楽が表現できると再認識しますね。ある意味、大震災からの出逢いのようなメンバーで、一緒に音を出すことになったんですよね。付き合いはもう30年近くなるのに、演奏したのは初めてで、音を出した瞬間に今までにない一体感を感じて意気投合。僕の音楽たちが、パワフルにそしてカラフルに表現されているので、みなさんぜひ一緒に飛び跳ねていい汗をかいて欲しいな~と思います。

――若い世代のストリングス&ピアノユニット【sources(ソーシズ)】とも、最近コラボしましたね。

 彼らは4歳からクラシック楽器の英才教育を受けてきたので、音楽に対する基礎が全然違うんですよね。
例えばポップスっていう風を僕が吹いたとしたら、ちゃんと順応してくれる。若いからではなく、彼らの才能に刺激を受けて一緒にやりたいって思ったんです。去年はジャズプレーヤーやアコーディオン奏者の方たちとコラボしましたが、今まで作ってきた音楽が違う形になると実感できて、楽しかった。特にジャズに触れたことで、歌い方や表現方法ががらっと変わりましたね。気づかなかった声質を発見し、自分の音の広がりを感じたんです。

――若い方からベテランまで、たくさんのコラボがありすごい! 様々なライヴができて楽しそうです。

 本当に楽しい(笑)! いろんなミュージシャンとコラボして、違う自分を発見したいんです。音楽に対して前を向いている人と一緒にやるのは、すごく気持ちがいい。突っ走ってる人たちと、一緒に演奏するのは刺激的です。

――曾我さんと音楽やりたい、って集まるのも素晴らしいことですね。

 うれしいですね。もっともっと先に行きたいっていう、僕の思いが通じているはずです。
言葉は悪いですが、適当に演奏しようと思ってしまうと、そういう人たちで固まるんじゃないかな、と僕は思います。

――ユニット活動はいかがですか? 【The Paisleys(ザ・ペイズリーズ)】は?

 2009年に結成して、毎月のようにライヴをやって信頼関係を築いた時期があって、これからは新曲を作る第二期。全員がリードボーカルを取れる3ピースバンドでカッコいい音を出せるので、音楽ファンにアピールしていきたいんです。

――野村義男さんとのアコースティック・ユニット【ON&OFF】は、どんな状況ですか?

 時間さえ空けば、いつでもやろうというスタンス(笑)。義男と一緒にやってきた【THE GOOD-BYE(ザ・グッバイ)】は、いよいよ2013年……来年30周年を迎えます。今の目標は、今年中に新曲をレコーディングすること! ライヴもやりたいですが、メンバーの負担にならない形で、新しい音でコミュニケーションが取れるといいな、と思っています。

――ソロ活動は、7月からの「弾き語りライヴツアー Summer 2012」で、東北から九州まで回るそうですね。

 「LIVE!LIVE!LIVE!」とは正反対のイメージで、僕の部屋に遊びに来てもらったかのような雰囲気の、アコースティックならではの柔らかいライヴです。日頃の疲れた心を癒してもらえたらうれしいですね。間隔をあまり置かずにいろんなライヴを開いていますが、“やれる時にやれることをつめこんじゃえ!”みたいな感覚。震災の経験で、いつどうなるかわからないと実感しました。だから前を向いて、今できることをやっていきたいんです。
(取材・文責:饒波貴子)
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