同絵画展は、今回で日本での活動歴50年の節目に当たり「感謝の気持ちをアートに」をテーマに「HEARTありがとう」をメッセージとして掲げている。会場には、口と足で描いた世界中の絵画作品約80点が展示され、実際にアーティストが会場で絵を描いたり、作品を描く姿がビデオなどで紹介されている。
初日に行われた課外授業では、牧野文幸、南栄一、古小路浩典の3氏が登場し、自分が障害を負いながらも、口を使って絵画を描き始めた体験など、小学生を前に語った。高校2年生の水泳部のスタート練習中に、プールの底に頭部を強打。第4頸椎を脱臼し全身マヒになった牧野さんは「ひとつ何かやりたいことを見つけることが大切。目標が決まったら、諦めずに頑張れば道は開ける」と自らの体験を交えて、小学生たちに語りかけた。
小学生招いて口で描く課外授業をデモンストレーション
すでに36年間、口で絵画を描き続けていると話す南さんは「柔道で全身マヒになってしまったが、人間は一人では生きられない。自分を大切に生きることが大切。何度も挫折を経験したが、諦めずに続けてきたことが良かった」と語った。「僕は入院中から看護師さんの似顔絵などを描きはじめて、絵画の面白さを知った。どんなことでもあきらめずに長く続けることが一番大切」とは、やはり学生時代の部活動が原因で全身マヒになった古小路さんの言葉だ。
課外授業では、実際にアーティストたちが描く姿を間近で見て、口で描くアートの世界を体験。その繊細な筆さばきに、参加した小学生は「すごい」を連発。その後、各自に配布された口にくわえるパイプとサインペンで、口をつかって線や円を描く練習を行った。「HEARTありがとう」の文字や自分のメッセージ、名前などをぺナントに描き、絵画展の特設会場に展示した。小学生たちの作品は、絵画の期間中展示されることになっている。最後に全員で記念写真を撮影。サプライズで、書画を得意とする牧野さんが様々な文字を描いた色紙を1枚1枚、参加者にプレゼントした。
絵画展を主催した口と足で描く芸術家協会は、今後はこうした課外授業を希望に応じて、学校などに出向いて交流を図れる場をつくっていく予定としている。(編集担当:岩崎博充)