トウ麗君文教基金会は財団法人で、文芸活動を通しての台湾文化の向上を趣旨としている。「トウ麗君」はテレサ・テンの中国語名。同基金会の設立は1995年で理事長はテレサ・テンさんの兄のトウ長富氏だ。
『テレサ・テン』はテレビの連続ドラマで、すでに20編の脚本が完成している。脚本家は大陸に在住する台湾人という。主演や出演者は人選を進めている最中だ。トウ長富氏が大陸側と改めて話し合って決定したいという。
テレサ・テンは華人社会で「超一流の歌手」として、現在でも極めて高く評価されている。トウ長富理事長によると「テレサのファンは多いが、テレサがどのような道を歩み、どのような困難や挫折を経験したか、それらをどのように克服したかは、あまり知られていないようだ」と説明。ドラマは、テレサ・テンの成長の過程を描くという。
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◆解説◆
テレサ・テンは1953年、台湾中西部の雲林県で生まれた。両親ともに大陸の出身。
1970年代からは日本でも芸能活動を行い、人気を博した。日本レコード大賞、日本有線大賞、日本ゴールドディスク大賞など、受賞歴も華々しい。紅白歌合戦には3度出場。1995年5月8日、静養先のタイで、気管支喘息のため死去した。42歳だった。
テレサ・テンは、「中華民国」に忠誠を尽くした芸能人でもあった。当初は強要された面もあったが、軍の慰問公演も多数回行った。1980年には「私が大陸で歌うことがあるとすれば、それは三民主義が大陸で実施されるその日です」と発言。
台湾当局は、テレサ・テンの歌を対大陸宣伝戦に利用した。中国共産党はテレサ・テンの歌を「猥褻歌曲」に指定して音楽テープの販売や所持を禁止した。しかし海賊版は爆発的な人気を呼んだ。1987年に台湾の商品を大陸で販売できるようになると、テレサ・テンの正規の歌唱テープなども大陸で販売されるようになった。
テレサ・テンは、中国の体制を「共産党による一党独裁」と嫌悪していた。そのテレサ・テンをテーマにしたドラマが「中台合作」で制作されることになった。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO。10月8日に台北市で行われたテレサ・テンの遺品展開幕式)
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