新幹線と中国高速鉄道がアジア各国の高速鉄道市場で受注競争を展開している。市場では競合関係にある日中両国の高速鉄道システムだが、中国高速鉄道に関わりのある日系企業も存在する。


 中国メディアの環球網はこのほど、中国高速鉄道に部品を供給している日系企業が「1社だけ存在する」と伝えつつ、中国国内における1万9000キロメートルの営業距離のうち、1800キロメートル分に日系企業の部品が使われていることを伝え、「機械化の時代においても、匠の精神が必要であることが分かる事例」と伝えている。

 記事が紹介している日系企業が中国高速鉄道に供給しているのは、高速鉄道のレールを固定するコンクリート製枕木に用いる金属部品だ。記事は、同社の関係者の話として「目立たない部品だと軽視してはならない」と伝え、高速鉄道の安全運行に非常に重要な役割を果たす部品であることを指摘し、非常に速い速度で走行する高速鉄道のレールをコンクリート製枕木に固定するには、非常に高い強度の部品が必要であることを指摘した。

 さらに、日系企業は部品のサイズの誤差を減らすと同時に、強度を高めるという中国側の難しい要求に応えるため、「機械を通じて人の想像力を発揮させ、多大なる工夫と努力を払った」ことを伝え、人間の技術と知恵によって機械を使いこなした同社の事例に対し、「機械化の時代においても匠の精神が必要であることを示すもの」と賞賛。この努力が実り、中国側の信頼を勝ち取ったと伝えた。

 また記事は、日本国内においては、「大部分の企業が中小企業であり、規模の点で大企業には及ばない中小企業は、まさに匠の精神で自らの才能を発揮し、生き抜いている」と伝え、こうした匠の精神こそ今後の中国企業にとって求められる要素であるとの見方を示している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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