中国メディア・環球網は、陝西省西安市で当時発生した反日デモの暴徒から暴行を受けて右半身不随の重症を負った男性夫婦の現在について伝える記事を掲載した。記事はまず被害者である李建利さんと、加害者である当時21歳の男の生い立ちを紹介。李さんは同市内で中古自動車の仲介業を営んでいた一方、加害者の男は河南省出身で小さい頃からいじめに遭い、小学校を途中退学後に煉瓦運びに従事、やがて同市に移り、インターネット中毒であったほか、休みの日には抗日ドラマを見て興奮していたことを伝えた。
そして、事件当日に李さん夫婦が同市内で買い物を終えて愛車のカローラに乗り込んだところ、デモの群衆に遭遇したと紹介。また、バスに乗って帰宅しようとした男も群衆に遭遇し、そのまま隊列に合流、途中で見つけた李さんのカローラを数人で囲い込み、窓ガラスなどを破壊したと伝えた。さらに、手にしたバイク用のU字ロックで李さんの頭を4回殴りつけたとした。
夫が頭から大量の血を流すのを見た妻は通りかかったタクシーを止めて夫を乗せ、病院へ急行。李さんは頭蓋骨陥没による脳挫傷で右側の筋肉の機能をほぼ喪失し、当日から現在まで1500日以上にわたる入院生活が続いている。男は13年に故意傷害罪などで禁錮10年の判決を受け、服役中だ。男は約26万元(約440万円)の賠償を命じられたが、本人、および、家族に支払い能力がなく、李さんは今年8月に当局から52万元(約880万円)の救済金を受け取った。入院費用についても行政が支払ってきたという。
記事は、この件について北京大学国際関係学院の日本問題専門家が「民族主義にはいい一面もあるが、ダークな面もある」としたこと、以前男の弁護を担当した弁護士が「当初は愛国的感情が爆発したものと思ったが、やがて衝動的なもので愛国とは関係なかったと認識するようになった。
日本に対する反発を示し、日本にダメージを与えるはずの反日デモが個人のうっぷんを晴らす場となり、暴徒と化した一部中国人が、罪のない「同胞」の中国人を傷つけ、人生を狂わせる結果となった。その後「愛国心」のあり方を巡る議論が繰り返され、社会がより理性的に国を愛する方向へと進んでいった。しかし、同胞が同胞を傷つけることとなったこの事件のことは、忘却の彼方に葬り去ってはならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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