中国では毎年3月15日が消費者権利保護デーとなっており、国営の中国中央テレビ(CCTV)が特集番組を放送する。番組では毎年外国企業の製品が「消費者に対して不誠実」という咎でやり玉にあげられてきたが、今年は中国人に人気があるカルビーのシリアル「フルグラ」がターゲットとなった。
中国メディア・環球網は19日、北海道にある「フルグラ」の生産拠点の様子を紹介する記事を掲載した。

 記事は「7日に、カルビーのフルグラ生産工場を見学した。北海道工場は品質管理、安全管理において非常に充実した措置を講じている。生産ライン上には100台の監視カメラが設置されるとともに、X線カメラでモニタリングが行われている。異物混入検査体制も完備されている」と紹介。

 包装過程では、パッケージと内容物が異なるというミスを防ぐためのチェックシステムが導入されているほか、異物混入や包装のミスを防ぐことをテーマとした活動も定期的に行われており、従業員全体の食品安全に対する意識が高められているとした。また、各国の法律法規に基づいてパッケージ上に生産地の記載を行うとともに、毎年2回生産地の表記をテーマとした勉強会も開かれていると伝えた。

 記事はさらに、作業場に入る際には必ず消毒された帽子をかぶる、靴底をブラシできれいにする、両手を洗って消毒する、粘着ペーパーや送風装置を使って衣服の異物を除去するなど、徹底した衛生管理が行われていることを紹介。「このような一連の動作を3回繰り返してようやく作業場に入ったことをはっきりと覚えている」とした。

 カルビーは昨年末に中国を含む国内外の需要拡大に合わせ、北海道千歳市の工場にフルグラの生産ラインを設置することを発表した。しかしその約3カ月後、中国の消費者権利デーで取り上げられてしまう。その理由は、ネットショッピングを通じて中国に流通していたフルグラの生産地が、中国の指定する東日本大震災の放射能汚染区域である栃木県であったことが包装に明記されておらず、「産地を日本とだけ表記するのは、消費者に対して不誠実」との誹りを受けたことだ。


 会社としてフルグラを中国に輸出していなかったにも関わらず非難を受けたカルビーだが、4カ月後の7月には越境通販による中国市場進出を発表。北海道で生産が始まった中国向けフルグラの包装には、北海道の地図を描くなど放射能汚染区域外でありしかも中国人に人気の北海道産であることが明確にアピールされている。

 中国で強い影響力を持つ消費者権利デーの特番は、外国メーカーにとっては恐ろしい存在だ。ただカルビーにとっては、より中国人の支持を得られる商品づくりという点で、良いきっかけになった部分もありそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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