チャイナユニコムは2017年8月、アリババをはじめ、百度(バイドゥ)、騰訊HD(テンセント)の「BAT」3社のほか、EC大手の京東商城(JD)、配車サービス最大手の滴滴出行など、ネット関連の有力企業を戦略投資家に迎え入れている。3大キャリアの中で、4Gネットワークの整備や5Gへの投資で他の2社(チャイナモバイル、チャイナテレコム)に対して遅れが指摘され、民間企業の活力を注入して経営改革につなげることが期待されている。
アリババと共同設立した新会社の登録資本金は3億5300万人民元(約57億3500万円)。出資比率はチャイナユニコムが51%、アリババが34%、杭州佳世雲網絡科技合夥企業(有限合夥)が15%。ユニコムの梁宝俊・総経理が董事長、アリババ・グループ傘下の阿里雲の胡暁明・総裁が副董事長に就任する。ユニコムの持つ通信基礎インフラやアリババのビックデータ、クラウドコンピューティング、IoT(モノのインターネット化)、人工知能(AI)の強みを活かす。
中国が進める「混合所有制改革」は、国有企業と非国有企業が共存する「混合所有制経済」と、国有企業に非国有資本(民間企業や外資、従業員持ち株会など)の出資を認める「混合所有制企業」の2つの方向で進められている。重点推進産業は、電力、石油、天然ガス、鉄道、民用航空、電気通信、軍事工業の7分野。チャイナユニコムは、「混合所有制企業」のモデルケースの一つとして、その提携戦略の進展が注目されている。
また、同じく「混合所有制企業」としてレノボなどから出資を受け入れた中国東方航空は、8月2日に日本航空(JAL)との業務提携関係を強化し、日中間で互いの便の運航ダイヤや運賃の調整などを一体的に行う「共同事業」を始めることで基本合意した。そして、中国鉄路総公司は、アリババやテンセントなどと業務提携の可能性を模索し、電子乗車券によるキャッシュレス化、顔識別などスマート鉄道分野で協業することをめざしている。
この改革は、2006年~07年に進んだ大型国有企業の株式上場ラッシュ以来の国有企業改革に位置づけられている。特に、電力や鉄道、航空、電気通信など、国内のインフラを担う企業群が重点推進産業に取り上げられていることから、米国との貿易摩擦によって国内インフラ整備に対する財政拡大に舵を切った現在、「混合所有制改革」が一段と強力に推し進められる期待も高まっている。(イメージ写真提供:123RF)
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