インターネットの世界は、グーグルやヤフーなどの検索ツールで自由にアクセスできる「サーフェスウェブ」というスペースに比べて、IDとパスワードの入力等によって入ることができる未公開サイト「ディープウェブ」の方が圧倒的に大きい。特定の人しか使えないはずの「ディープウェブ」も、そこに入るためのカギさえあれば、誰でも侵入し、重要な情報を盗み出すことができる。そのカギの代表がログインIDとパスワードのセットだ。ログインIDとパスワードが漏れれば総当たり攻撃が繰り出され、個人のクレジットカードの不正利用に使われ、SNSの管理画面がのぞかれ、企業内サイトへの侵入なども許してしまうことにつながる。
SOMPOリスクマネジメントの宮嵜氏は、「130社のディープウェブを調査したところ、91%の企業に何等かの情報漏れが見つかった」というほど、会社のネットワークにも穴がある。「サイバーセキュリティは、たとえ95点の対策ができたとしても、翌日には20点にセキュリティレベルが下がってしまうこともある。常に、どこが脆弱かということに目を光らせて、情報漏えいがないかということをチェックし続けていく必要がある」という。
そして、「2014年から18年までで、サイバー攻撃の件数は8倍に増えた。その中で近年、狙われているのはサプライチェーンだ。取引先や業務委託先など、ネットワークにつながることが可能な会社の中に、脆弱な部分があれば、そこから侵入され、本社のネットワークにまで入り込まれるという事案が年々増えている」という。
同セミナーで講演したANAシステムズの阿部恭一氏が、「近年のサイバー犯罪は、日本のサプライチェーンの全体を狙っている。
サイバー犯罪は、大手コンビニのモバイル決済が不正利用される事件が起こったばかりだ。一般にIDにはメールアドレスが使われるケースが多く、パスワードの使い回しはなかなかやめられない。良く知っている企業のオンライン・チケット販売や予約、ECでの買い物などから情報が漏れることもある。ユーザーは、自分の情報が漏れる可能性があることを常に意識して、その際に、被害を最小限に食い止める備えをする必要がある。
一方、情報を取り扱う方の企業は、常にサイバー攻撃を受けているという危機意識をもって、特にサプライチェーン攻撃に対しては、グループ各社や取引先等のセキュリティ対策の現状等についてアセスメント(環境調査)を継続的に行い、「リスクの見える化」を行っていることが何より重要になる。「ボヤのうちに対応し、すぐに消火できる体制を構築していることが大事だ」(阿部氏)という言葉が印象的だった。
損保ジャパン日本興亜では、サプライチェーンリスクに備えた保険も組成している。また、サイバー保険には「緊急時サポート総合サービス」を自動付帯。
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