記事はまず、自動車産業では日本やドイツ、米国、それに韓国が有名で、中国車はこれらの国の車に品質でもブランド力でも及ばないが、「高速鉄道では引けを取らない」と自画自賛。そして「総合的に評価すれば中国高速鉄道は世界一だ」と豪語した。
しかし、中国高速鉄道は、日本に比べればずっと後発だ。東海道新幹線は1964年に開通しているので、中国高速鉄道の開業は新幹線に比べて40年以上も遅かったことになる。そのため記事は、日本が1964年の東京五輪の時期に合わせて新幹線を開通させたときは、世界を驚かせると同時に「中国人は見せつけられた思いがしたはずだ」と主張し、中国人の視点からの感想を伝え、「中国高速鉄道にとっては1964年が原点になる」と主張した。
そんな中国が、高速鉄道の導入の検討を「本格化」させたのは「1978年のトウ小平の訪日がきっかけとなっている」と記事は分析。日本滞在中に新幹線を体験したトウ小平が感動し、中国高速鉄道の発展が始まったと伝えた。ただ記事は、日本は中国に新幹線を「見せびらかすだけ見せびらかして輸出を渋った」ので、日本にとって不本意なことに中国が本気を出して自力で作ってしまったとも付け加え、中国高速鉄道の成功を自画自賛している。
しかし、「中国が自力で高速鉄道を作った」というのは語弊がある主張だ。日本など他国の技術を導入したのが始まりであり、「日本が新幹線を見せびらかした」というのもあまりに主観的だ。中国ではこのように、事実と異なることがまことしやかに伝えられてしまうことが多いが、「中国が1964年の東京五輪にあわせて開業した新幹線に触発された」というのは間違いではなさそうだ。
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