日本アクセスは第9次中期経営計画(25~27年)をスタートさせた。「変革と挑戦×実践2027」をスローガンに、マーケティング力とデジタルを活用し、得意先小売業・メーカーのビジネス拡大と社会課題解決を実現するソリューションプロバイダーへの進化を目指す。


最終27年度の定量目標は売上高2兆6500億円(24年度比1800億円増)、経常利益354億円(同28億円増)。物流拠点投資340億円、基幹システム投資103億円など、3か年の総投資額は600億円を計画。2030年度売上高3兆円に向けた成長投資を実行し、食品総合卸№1の事業規模と収益基盤の構築を進める。

5月30日、本社で決算説明会を開き、24年度概況と第9次中計の概要を発表した。同社の24年度連結決算は売上高2兆4188億円(前年比3.5%増)、経常利益342億円(7%増)、当期利益241億円(12.9%増)。物価高による単価上昇が続くなか、各チャネルで積極的な提案活動を推進、販売数量は前年比2%増を達成。売上総利益の拡大により、物流費、人件費の増加を吸収し、売上・利益とも過去最高を更新した。

服部真也社長は第8次中計の3年間を振り返り、「フルライン化や新規ビジネスの拡大、収益改善や物流効率化に取り組み、業務用分野では外食・デリカ・原料事業の拡大が進んだ」と総括した。

第9次中計では「成長・差別化戦略」「生産性改革」「経営基盤改革」を基本方針に、「日本アクセスの強みであるマーケティング、デジタルを活用し、ソリューションプロバイダーとして取引先と社会課題の解決につながる提案を行っていく。営業・ロジの両軸でソリューションを加速させる」(服部社長)。

そのための推進組織として、今期から商品統括・マーケティング管掌下のMD部をMS部(マーチャンダイジング・マーケティング&ソリューション)に改編。市場のシームレス化に対応し家庭用・業務用を一気通貫で取り扱う組織に集約、生鮮とデリカを連携した営業推進組織に変更したほか、全社横断の営業戦略組織を設置し、戦略推進体制を強化した。


DX戦略では、独自の「AIプラットフォーム」を活用し、棚割やプライシング、在庫管理など流通のムダ・ムリ・ムラの解消と、商品開発や販売戦略立案など取引先の売上・販売数量拡大にも貢献する。

ロジスティクス領域では、関東・近畿・中四国に続き、9月に中部エリアでフローズンマザーセンターが稼働。一貫パレチゼーションによる物流効率化の取り組みを進めるとともに、需要拡大が続くフローズンチルドではメーカーのチルド分野参入を支援する。

今後3年間で340億円規模の物流投資を計画しており、圧倒的な低温事業の確立とともに、物流拠点の最適化と物流課題の解決につなげる。

海外事業においては、5月1日付でタイに海外駐在員を配置。アジア市場をターゲットに、伊藤忠商事グループのネットワークも活用し、現地の小売業・外食業への販路を開拓するとともに、メーカー・小売業・外食企業の海外進出をサポートし、海外ビジネスのサプライチェーン構築を進める。

なお、9次中計初年度の今期は売上高2兆4700億円(2.1%増)、経常利益326億円(5.8%減)、当期利益222億円(7.9%減)を見込む。物流費や人件費、償却負担増加を考慮し、減益予算とした。
編集部おすすめ