4月23日、取材に応じた尾関太一郎国内米菓マーケティング部部長は「我々の仮説ではミックス米菓市場は、おつまみとして食べられことが主流であり、価格訴求に左右されやすい市場だったが、コロナ禍によるイエナカ需要の高まりを受けて、おやつの喫食を獲得したことが上乗せになり活性化している」と振り返る。
同社調べによると、前期(3月期)、ミックス米菓市場の販売金額は前々期比7%増と推定。この中で「亀田のつまみ種」の前期売上高は、2022年9月に発売開始した「午後のつまみ種」が牽引役となり市場の伸びを上回る10%増を記録した。
「『亀田のつまみ種』はミックス米菓市場と同様に、おやつ需要とお酒に合うおつまみ需要の両方に対応しているのに対し、『午後のつまみ種』は狙い通りおやつ需要を獲得している」と語る。
尾関太一郎国内米菓マーケティング部部長 「亀田のつまみ種」ブランドのコアユーザーは50代から60代。1993年の発売から30周年を迎えた2023年、若干の若返りを図るべく前身の「つまみ種」をリニューアルし現行の「亀田のつまみ種」が誕生した。
リニューアルでは、時代の変化に合わせて2種類のパーツを刷新。
「全体的に少しカジュアル感を打ち出すべく、小魚と海苔巻きのパーツを、米つぶ焼とチーズインスナックに差し換えたところ、特に濃厚なチーズクリームをサクサク生地で包み込んだ洋風の味わいのチーズインスナックが好評を博し“もっと増やしてほしい”“これだけを売ってほしい”といったお声を頂戴している」という。
一番人気のパーツはいか天。はちみつ揚げも「亀田のつまみ種」の脇を固める。
「甘いパーツとの組み合わせで連食性を生んでいる。中身の評価が高く、コロナ禍以降、認知度は高くないものの、リピートが強く伸び続けている」と胸を張る。
「当社では、パーツを1種類ずつ計量しながらコントロールしている」と説明する。
パーツの高評価とともに、「亀田のつまみ種」で10種類、「午後のつまみ種」で7種類のパーツをアソートして、主に女性のわがままなニーズに対応していることが近年の成長の源泉とみている。
「女性のインサイトには“いろいろなものが食べたいのだけど、たくさん食べるとカロリーが気になる”といった葛藤があり、このようなインサイトからビュッフェも好んで行かれるのだと思う」との見方を示す。
今後もこうしたインサイトに寄り添いコミュニケーションや商品に磨きをかける。
「癒しや気分転換のニーズに菓子でお役立ちできると考えており、ブランドでは、いろいろなものが少量で楽しめることをもっと上手く表現していきたい」と意欲をのぞかせる。
24年9月にはナレーションに津田健次郎さんを起用したTVCMを放映開始。今年2月には「午後のつまみ種」のCMを放映し、同じくおやつ需要に対応した「こつぶっこ」などの買い回りも促進。一部店頭では津田健次郎さんのナレーションを活用している。今後は「おいしさをさらに効果的に伝えていきたい」という。
商品は、国内米菓の生産体制が強固になったことを受けて、定番2品に加え、今期から初めて春夏秋冬オールシーズンで季節限定商品を展開していく。2月に「春のつまみ種」を発売し、近く「夏のつまみ種」の発売を予定している。
「ブランドとしては、依然、おつまみのイメージが強いため、『午後のつまみ種』と季節の商品で、おやつの喫食シーンを含めて食シーンを広げていき、ワクワク感を醸成するようなブランドに育成していきたい」と力を込める。

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