
左からカルビーの石井信江氏、種橋直実氏
カルビーは5月1日、オフィス勤務者の働き方を、モバイルワークを標準とした働き方から、社員自らがモバイルワークと出社を柔軟に組み合わせて勤務場所や時間を自律的に考える働き方「カルビーハイブリッドワーク」へと移行した。
カルビーグループは2014年に在宅勤務制度を開始し、17年には利用日数や場所の制限をなくした「モバイルワーク制度」を導入。
制度を利用する社員は一部に留まっていたが、20年7月に新型コロナウイルスの影響を踏まえたニューノーマルの働き方「Calbee New Workstyle」を導入してモバイルワークを標準とした働き方を取り入れていた。
導入から5年が経過し社会情勢の変化などを踏まえ、働き方を移行することでさらなる生産性向上を目指す。
出社日数などの制限や規定は設けられていない。
働き方の移行に伴い、5月1日には本社オフィスを増床。本社オフィスは、21年に2フロアから1フロアに集約していたのを再度拡充した。
増床フロアは791.73平方メートルで、約300席を用意。既存フロアは社外との接点、増床フロアは社内利用と使い分ける。
左からカルビーの石井信江氏、種橋直実氏 働き方の移行や本社オフィス増床の理由について、6月9日、取材に応じた人事・総務本部人事労務部の石井信江部長は「モバイルワークを主体とした働き方を推進してきたことで、生産性の向上において課題となる事例が散見されるようになったため」と説明する。
その課題の主なものとしては、モバイルワークを標準としたことで、上司が部下に対面の会議を呼びかけにくくなったほか、個人ワークが中心となってしまいチームでの成果に影を落としている点を挙げる。
加えて「体調不良の場合、働くのではなく休むのが正しい選択となるが、モバイルワークを導入したことで、休まずに在宅で働いてしまう人が多かった」ことを課題に挙げる。
出社回帰の流れで積極的な出社が増えてきたことによって、執務席や会議室が慢性的に不足しているといった課題も浮上。
「常に席が足りないというわけではないが、人が集中する時期や時間帯には席がないということがあった。
これらの諸課題に対応すべく「カルビーハイブリッドワーク」に移行した。
初動の状況について「成果から逆算して、働く場所と時間を自律的に選択するという基本的な考え方は変わっていない。ただ、モバイルワークという前提が無くなったため、対面での会議や部下に呼びかけやすくなったという声は多数いただいている」と語る。
体調不良でも休まずに在宅で勤務してしまう社員に対しては「上長が連絡を受けた際に、体調不良の際には休んでほしいと1件1件こまめに伝えていくことで、正しい選択を促している」という。
座席に荷物を置いたままの長時間離席には、改めてマナーの徹底を呼び掛け、改善を図っている。
同時に、会議の回数の減少・時間の短縮も啓発し、生産性向上とともに会議室不足の解消に向けて取り組んでいる。
増床フロアの多目的スペース「マルシェ」では、オフィス内でのコミュニケーションを促すイベントを順次開催予定。
社員によるサークル活動や部門主催の勉強会、外部講師を招いてのイベントなどの利用も見込む。
「マルシェ」を基点に社員同士の交流を深めるほか、課題となっているヨコ連携の強化や外部知識の獲得を図る。
「カルビーハイブリッドワーク」では、社員申請型の遠隔勤務制度(通称:スマートワーク)の本格導入も開始した。
「スマートワーク」とは、希望者の申請を上司が承認することを条件に、遠隔地で働くことができる制度。
2023年にトライアル導入し組織で個別に承認していたが、部門ごとの承認により全社で事例が把握できていなかった点や、一度承認すると承認したままの状態になっていたことを受け、新たに規定化し全社の制度として実装化した。
規定では、成果創出を前提に、本部長が申請を判断する。4月1日から翌年3月31日までの1年限定とし、毎年可否を判断・更新する。
主な申請理由は、配偶者の転勤や家族の介護など。単身赴任を解除し、家族の居住地への転居も可能となっている。5月末時点で約30件の申請があったという。
「スマートワーク」による効果としては、「生産性の向上」「ライフワークバランスの改善」「交通費などのコストの削減」「地理的制約を越えた多様な人財の活用」「オフィスのエネルギー消費削減など環境への配慮」を挙げる。
人事・総務本部人事総務部の種橋直実部長は「家族と離れずに仕事を続けることが可能となり、家族との時間や運動・趣味の時間を持てることで、従業員の負担軽減による離職率低下も期待できる」と述べ、エンゲージメントの向上にも期待を寄せる。
なお、同社の現在の出社率は20-30%程度。引き継ぎなどで対面でのやり取りが増える3-4月は50%程度だという。
カルビーグループは2014年に在宅勤務制度を開始し、17年には利用日数や場所の制限をなくした「モバイルワーク制度」を導入。
制度を利用する社員は一部に留まっていたが、20年7月に新型コロナウイルスの影響を踏まえたニューノーマルの働き方「Calbee New Workstyle」を導入してモバイルワークを標準とした働き方を取り入れていた。
導入から5年が経過し社会情勢の変化などを踏まえ、働き方を移行することでさらなる生産性向上を目指す。
出社日数などの制限や規定は設けられていない。
働き方の移行に伴い、5月1日には本社オフィスを増床。本社オフィスは、21年に2フロアから1フロアに集約していたのを再度拡充した。
増床フロアは791.73平方メートルで、約300席を用意。既存フロアは社外との接点、増床フロアは社内利用と使い分ける。
左からカルビーの石井信江氏、種橋直実氏 働き方の移行や本社オフィス増床の理由について、6月9日、取材に応じた人事・総務本部人事労務部の石井信江部長は「モバイルワークを主体とした働き方を推進してきたことで、生産性の向上において課題となる事例が散見されるようになったため」と説明する。
その課題の主なものとしては、モバイルワークを標準としたことで、上司が部下に対面の会議を呼びかけにくくなったほか、個人ワークが中心となってしまいチームでの成果に影を落としている点を挙げる。
加えて「体調不良の場合、働くのではなく休むのが正しい選択となるが、モバイルワークを導入したことで、休まずに在宅で働いてしまう人が多かった」ことを課題に挙げる。
出社回帰の流れで積極的な出社が増えてきたことによって、執務席や会議室が慢性的に不足しているといった課題も浮上。
「常に席が足りないというわけではないが、人が集中する時期や時間帯には席がないということがあった。
また、座席に荷物を置いたまま長時間離席してしまうという状況も往々にしてあった」という。
これらの諸課題に対応すべく「カルビーハイブリッドワーク」に移行した。
初動の状況について「成果から逆算して、働く場所と時間を自律的に選択するという基本的な考え方は変わっていない。ただ、モバイルワークという前提が無くなったため、対面での会議や部下に呼びかけやすくなったという声は多数いただいている」と語る。
体調不良でも休まずに在宅で勤務してしまう社員に対しては「上長が連絡を受けた際に、体調不良の際には休んでほしいと1件1件こまめに伝えていくことで、正しい選択を促している」という。
座席に荷物を置いたままの長時間離席には、改めてマナーの徹底を呼び掛け、改善を図っている。
同時に、会議の回数の減少・時間の短縮も啓発し、生産性向上とともに会議室不足の解消に向けて取り組んでいる。
増床フロアの多目的スペース「マルシェ」では、オフィス内でのコミュニケーションを促すイベントを順次開催予定。
社員によるサークル活動や部門主催の勉強会、外部講師を招いてのイベントなどの利用も見込む。
「マルシェ」を基点に社員同士の交流を深めるほか、課題となっているヨコ連携の強化や外部知識の獲得を図る。
「カルビーハイブリッドワーク」では、社員申請型の遠隔勤務制度(通称:スマートワーク)の本格導入も開始した。
「スマートワーク」とは、希望者の申請を上司が承認することを条件に、遠隔地で働くことができる制度。
2023年にトライアル導入し組織で個別に承認していたが、部門ごとの承認により全社で事例が把握できていなかった点や、一度承認すると承認したままの状態になっていたことを受け、新たに規定化し全社の制度として実装化した。
規定では、成果創出を前提に、本部長が申請を判断する。4月1日から翌年3月31日までの1年限定とし、毎年可否を判断・更新する。
主な申請理由は、配偶者の転勤や家族の介護など。単身赴任を解除し、家族の居住地への転居も可能となっている。5月末時点で約30件の申請があったという。
「スマートワーク」による効果としては、「生産性の向上」「ライフワークバランスの改善」「交通費などのコストの削減」「地理的制約を越えた多様な人財の活用」「オフィスのエネルギー消費削減など環境への配慮」を挙げる。
人事・総務本部人事総務部の種橋直実部長は「家族と離れずに仕事を続けることが可能となり、家族との時間や運動・趣味の時間を持てることで、従業員の負担軽減による離職率低下も期待できる」と述べ、エンゲージメントの向上にも期待を寄せる。
なお、同社の現在の出社率は20-30%程度。引き継ぎなどで対面でのやり取りが増える3-4月は50%程度だという。
編集部おすすめ