
5月26日、取材に応じた井島隆信SBFジャパンブランドマーケティング本部課長は「『GREEN DA・KA・RA』ブランドでは、これまでどちらかというと『やさしい麦茶』をメインに訴求を強めてきたが、市場などを総合的に考えて現在は『GREEN DA・KA・RA』本体を推している」と語る。
その背景には、地球温暖化や人流回復に伴う活動量の増加がある。
TVCMでは、ブランドの顔である草彅剛さん扮する“やさしいマン”を起用し「いい汗に、いいスポドリ!」をメッセージに掲げて、日常の水分補給を大々的に訴求している。
「GREEN DA・KA・RA」本体「スポーツドリンクは、目的飲用カテゴリの象徴。“運動時にスポドリ”“熱中症対策にスポドリ”といった具合に、ある目的のために飲まれる傾向にある。『GREEN DA・KA・RA』本体はスポーツドリンクカテゴリでありながらも、日常の水分補給飲料だとお伝えしている」と述べる。
5月5日に放映開始したTVCM「やさしいマンと収穫篇」では“やさしいマン”がユースケ・サンタマリアとふなっしーと共演して、日常の水分補給をコミカルに訴求。7月にも同CMの放映を予定している。
日常の水分補給に着目した理由は、猛暑日以外の需要獲得にある。スポーツドリンクと麦茶は飲料の中でも気温上昇の影響を受けやすいとされる。気温上昇時の需要を獲得しつつ、外的要因に左右されにくくするのが狙い。
気温との基本的な相関関係について「スポーツドリンクと麦茶飲料は最高気温が25度以上になると日販が大きく増加する。中でもスポーツドリンクは気温上昇の相関が強く、2つ目の分岐点である30度を超えると、さらに増加する」との見方を示す。
ただし、2023年・24年と2年連続で記録的な猛暑となった中、24年には気温上昇との相関に揺らぎがみられたという。
「24年に、学んだのは“暑ければ暑いほど需要が伸びるわけではない”ということ。23年にはあまりみられなかった“高温時に日中の不要不急な外出や運動を控える動き”などに加えて、大容量の価格改定の影響を受けて、24年スポーツドリンク市場の販売数量は微減になったとみられる」と振り返る。
今年、訴求強化している日常の水分補給は、25度以上のシーンをメインに想定する。
「25度を超えてくると、少し歩くだけでも小汗をかく。『GREEN DA・KA・RA』本体は、やさしくスッキリした中味設計となっており、小汗をかくような幅広いシーンで飲んでいただきたい」と力を込める。
加えて、多様化するスポーツシーンでの需要喚起も視野に入れる。
「スポーツの種類・質がかなり変わってきている。サッカーや野球といった王道スポーツの人口が減る一方で、ウォーキングやジョギングなどの人口が増えており、そのような小汗をかくシーンに“いい汗に、いいスポドリ!”を訴求していきたい」との考えを示す。

ブランド全体で熱中症リスクの早期化に合わせて、昨年に引き続き熱中症対策と水分補給を啓発する店頭活動を5月から展開。スーパーを中心に3000店で売場づくりを進めている。
「昨年は流通さまに、社会問題化している熱中症対策に取り組む当社の姿勢に共感いただき、戦略の骨子である“より早く、より多く、より長く”売場展開をしっかりやり切れた。今年は活動内容をもっと濃くしていきたいと考え、商品軸では初の展開として5月6日に季節限定の『GREEN DA・KA・RA 限定シークワーサー味』を新発売した。熱中症対策商品のラインアップを拡充し、熱中症リスクへの対策促進を強化する狙い」と説明する。
夏場、「GREEN DA・KA・RA」本体の派生品は「GREEN DA・KA・RA 限定シークワーサー味」と「塩ライチ&ヨーグルト」の2品を軸足に据える。
熱中症対策啓発活動の一環として、子どもの身長の高さで計測した気温が大人と比較して+7℃程度になる子ども特有の暑熱環境(熱中症の危険性がある環境)を「こども気温」と称し、その啓発も継続していく。
今年は新たに東京都と連携し、5月から環境局の「熱中症対策ポータル」で「こども気温」に関する情報発信を行うほか、7月には東京都の後援を受け、親子向けの「こども気温」啓発イベントを予定している。
【写真】“やさしいマン”がユースケ・サンタマリアとふなっしーと共演したTVCM「やさしいマンとまさかの収穫篇」
