
「無限」ブランドは、米菓市場に新風を吹き込むべく、米菓市場では手薄な30・40代の比較的若い層をターゲットに開発され、2021年に発売開始された。
高温でサッと揚げたサクッサクッとした食感と、当時では珍しい全面アルミの見栄えのするメタリックなパッケージが好評を博し、狙い通り若年層の新規ユーザーの取り込みに成功した。
「無限エビ」は発売1週間で出荷数100万袋、23年2月に発売開始した「無限のり」は発売2日目で出荷数100万袋に達し、それぞれ大記録を打ち立てた。
以降、ブランド立ち上げからわずか2年で「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」に続く亀田製菓の重点6ブランド入りを果たし異例のスピードで成長を遂げる。
これにはXのトレンド入りを意識してアイドリッシュセブンやモンスト、ブルーロックを起用したコミュニケーション活動も奏功した。
この勢いを加速し、定番ブランドの地位を確固たるものにすべく、ブランド立ち上げから4年が経過した今秋、リニューアルに踏み切った。
歴舎(れきしゃ)直輝国内米菓マーケティング部米菓スナック第2グループマネージャー 9月2日、取材に応じた歴舎(れきしゃ)直輝国内米菓マーケティング部米菓スナック第2グループマネージャーは「『無限』シリーズの目的は、米菓にあまり馴染みのないお客様をいかに米菓で獲得していくかに尽きる。これまで数々のコンテンツとコラボするなどして新しさを発信し米菓市場の若返りにも少なからず貢献できたと考えている。ただし、新しい仕掛けだけでは定番ブランドにはなり得ず、次のフェーズに移らなければならない」との考えを明らかにする。
次のフェーズとは、おいしさへのこだわりや商品の価値を伝えていくことにある。
「新しい仕掛けをしているブランドではなく、本質的なおいしさやこだわり抜いた品質を担保したスナック風の米菓であることを訴求していき、“おいしいから購入したい”というお客様をもっと増やしていきたい」と意欲をのぞかせる。

中身については「無限エビ」ではエビ味を強化。
「天然の有頭えびを殻ごと生地に練り込むことでより香ばしいえびの味わいへと強化するとともに、引き続き五島灘の塩でおいしさを引き立たせている」と説明する。
一方、「無限のり」は、青のり・焼きのり・あおさのりの3種のあわせ海苔の風味をより引き立たせるべく、製法をブラッシュアップするとともに、塩を沖縄の塩シママースから鳴門の海水塩で作った焼塩に変更した。

「ちょっとした隙間時間におなかの空き具合に合わせて2個ほど食べられることをイメージし、中身を2個ずつデザインするとももに、『無限』ブランドの一番シンボリックで食感を伝える上で大事な表現として“サクッ サクッ!”の文字を大きくあしらった。加えて、品質へのこだわりを伝えるため、海老と海苔の素材を訴求するアテンションもブラッシュアップした」と語る。
今回、リニューアルに踏み切るにあたり「無限」ブランドのロイヤルユーザーを対象にグループインタビュー形式の調査を実施した。
これにより浮き彫りになったのは、「無限」ブランドが米菓とスナックの中間のポジションを獲得している点。
「健康訴求のお菓子は手に取らないものの、身体の変化もありスナックを食べることに若干の罪悪感と抵抗感を抱きはじめる30・40代の“負”を『無限』シリーズが解消していることが改めてわかった。これだけ愛して下さるお客様がいることも再認識でき、このようなお客様をもっと増やすべく刷新した」と述べる。

「無限」ブランドでのタレントを起用したTVCMの投下は実質的に初めてとなる。TVCMは「津田健次郎さんに出演していただき、朗読形式でパッケージ裏面に記載された素材へのこだわりをひたすら読み上げる」内容となっている。
コンビニ向けには、スナックを食べることに罪悪感・抵抗感を抱きはじめる男性に照準を合わせて35gの新サイズを投入した。
新サイズについて「従来、コンビニでは中身・生地サイズともに同じの31g小容量サイズを発売していたが、男性により好まれるように『無限』ブランドとしては初めて小丸(こまる)の生地にチャレンジした。通常品が半分に割るとひと口サイズになる大きさだとすれば、小丸は完全なひと口サイズと言える」と説明する。
コンビニ向けに新サイズを投入したことで、コンビニ専用だった既存の31gサイズは通常品のトライアル商品としてスーパー・量販店などで売られる。
「無限」のネーミングについては「無限に食べられるという意味合いと、噛めば噛むほど素材の風味が無限に広がるという2つの意味合いがある」という。
今後も海老と海苔という2つ素材を基軸に派生品などを展開しブランド力を強化していく。
「インテージの指標では2024年度、米菓全体のブランドランキングで20位以内に入ったものの、認知率が25%程度でまだまだこれからのブランドだとみている。『無限エビ』と『無限のり』をいかに安定的なものにしていくかが足元の最大のミッション」と気を引き締める。