近年は気候変動、秋冬シーズンの高温傾向の影響で踊り場に入っているが、本格シーズンには鍋つゆを中心に安定した需要を捉えている。
鍋用調味料はメニュー人気を背景に順調に成長してきた。その中で鍋つゆ市場は2021年度(3~2月)に年間500億円の大台を突破した。だが、その市場もそれ以降は軟調な動きをみせる。
近年は秋冬シーズンの高温傾向が顕著だ。秋はその傾向が強く、鍋シーズンの短期化、鍋需要の低下が進んでいる。24年度の鍋つゆ市場も9月、10月に振るわなかった。しかし、11月から巻き返し、通期では数量で苦戦しつつ金額で前年を若干上回った。今期(25年度)の市場も同様の動きが見込まれ、何らかの対策が必要になっている。
メーカー各社は今期も「〆まで美味しい鍋つゆ(〆鍋)」(ミツカン)、「プチッと鍋」(エバラ食品工業)、「鍋キューブ」(味の素)に代表される主力ブランドの提案に力を注ぐ。
これに対し、気温に左右されにくいメニューや商品の提案も必要になっている。実際に新しい魅力や価値を発信できるメニューや商品を提案する動きも増えている。
ダイショー、イチビキなどはラーメン店などによる監修商品のラインアップを拡充。ミツカンは世界を体験できる新ブランド「鍋THE WORLD」シリーズを発売した。ヤマキは偉人とだしをテーマにしたシリーズ、ヤマサ醤油は具材入りの「素材まるごとすごい鍋」シリーズ、キッコーマン食品は具材入りの「芯からぽっと」シリーズを投入した。
「楽しさ」などの要素を含め、既存のストレートパウチタイプや小分けタイプとは異なるコンセプトを持ったメニューや商品を提案する動きが活発だ。これらの商品が新しい需要を捉え、本格シーズン前後の需要創造につながる可能性もある。