カゴメは10月8日、名古屋本社で社長交代に関する記者会見を執り行った。当日は山口聡社長と、26年1月1日付けで代表取締役社長に就任する奥谷晴信取締役常務執行役員が出席。
奥谷氏は、次年度からスタートする新たな中期経営計画の方向性について言及。国内、海外の両軸で成長を図るとともに、新たな成長に向けた事業領域の拡張にも挑戦していくとした。

奥谷氏は1990年にカゴメ入社。調達、経営企画、事業開発部門を経て、08年にはイタリアに出向。以後、海外部門の要職を歴任。国際事業の収益構造改革や成長戦略を牽引。米国成長戦略室長時代には、Ingomar(インゴマー)社のM&Aによる事業拡大を推進した。

冒頭挨拶で山口社長は「奥谷はこれまでのキャリアの中で長く国際事業に携わり、2021年からは経営企画室長、コーポレート企画本部長として国内事業のマネジメントも担ってきた。それらの業務を通して高い実行力を発揮してきた奥谷が今後、国内、国際の両事業においてさらなる成長にチャレンジしていく当社の経営を任せるのに最適な人材であるとの結論に至った」と次期社長に選任した理由を語った。

これを受け奥谷氏は「創業から126周年となるこの会社の舵取りを担うことに身の引き締まる思い。近年、当社は国際事業が拡大し、国内事業とほぼ同等の売上規模となった。私の使命は、国内、海外の両事業を、それぞれの事業特性や事業ステージに応じて適切に運営し、着実に成長させること。
そして、さらなる成長に向けた価値開発を進め、事業領域を拡張していくこと」と応えた。

今後の重点取り組みとして、国内事業では野菜のおいしさと健康価値による需要創造をさらに進化させ、それによって社会課題の解決と事業成長の両立を目指す。
「国内事業はやはり野菜飲料が中心となるが、いつまでのトマトケチャップと野菜飲料だけの会社というわけにはいかない。次なる成長に向けて利益を確保しながら、健康やウェルビーイングといった新たな需要の創造に取り組んでいく必要がある。食に限定されない領域をどれだけ広げられるかがチャレンジと思っている」
一方、海外事業については、北米を最重点エリアと位置づけ、そのなかでも業務用フードサービス事業に力を注ぐ。「米国を中心としてフードサービス市場は年率5%前後で伸びている。この成長を確実につかんでいく」とした。
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