
9月30日の発表会で福井正一社長は、主力商品のファン育成や新商品開発による国内シェア拡大を図るとともに、東南アジアを中心とした海外展開やM&Aも視野に入れ、約67億円(25年3月期)のヨーグルト事業を将来的に400億円規模まで育てる考えを示した。
新商品はフジッコ独自の「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株)」とパウチ発酵技術により、ギリシャヨーグルトに近い“もっちり”とした食感を実現。自家製クリームで酸味を抑え、口栓付き大容量パウチで保存性も高く日常的に楽しめる仕様だ。
デザートヨーグルト事業部の小橋いつこ氏は「『カスピ海ヨーグルト』は健康意識の高い層を中心に支持されてきた。今回、子育てファミリー層など多くの人が日常的にスイーツ感覚で楽しめる商品を目指した」と説明。フルーツにディップしたり、クリームとしても活用できる。
(左から)福井正一社長、山口智子さん、家森幸男氏同社は長年、昆布や豆製品を主力としてきたが、共同でイソフラボン研究を行っていた京都大学名誉教授の家森幸男氏がジョージアで見いだしたカスピ海乳酸菌をもとに、2005年に「カスピ海ヨーグルト」を発売。独自の強い粘りや酸味の少なさが支持され、20年間で売上は10倍に拡大、講演会など地道な情報発信も拡大を後押ししてきた。
当日は家森氏が「カスピ海乳酸菌ヒストリー」と題し講演。高血圧マウスを用いた実験で脳卒中予防の可能性が示されたことなどを紹介し、「カスピ海乳酸菌を世界に広げたい思いでフジッコに託した。食環境の改善や健康寿命延伸に大きく貢献できると確信している」と語った。新商品を試食した俳優の山口智子さんは「噛むに近いヨーグルトの存在感が素晴らしい」と絶賛した。