日本の生活者への啓発や情報発信も支援の一環と位置付け、2022年4月に「コーヒーの未来部」を新設し、専用商品「コーヒーの未来部シリーズ」などを通じて産地やコーヒーの理解を促している。
9月、同シリーズ第4弾となる「エチオピアJARC74148」が公式ECサイトと全国の直営ショップで発売開始された。
コーヒーの未来部による講義で質問する学生 9月24日と25日、同商品のPRも兼ねて、大学3年生を対象にオープン・カンパニーを実施した。
オープン・カンパニーは「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2025(SCAJ2025)」が開催された東京ビッグサイト(東京都江東区)で人財開発課が定めたスケジュールに沿って行われた。
学生は、コーヒーの基礎知識やキーコーヒーの事業に関する聴講やSCAJの視察を経て、コーヒーの未来部による講義を受けた。受講人数は24日が35人、25日が27人に上った。
24日のコーヒーの未来部による講義で、進行・講師役を務めたのは福永成恵さんと有永直子さん。
モカの栽培地でコーヒーの発祥地とされるエチオピアのコーヒーが、気候変動の影響を受け持続的な生産が危ぶまれていることに触れ、その1つに降雨パターンの変化を挙げる。
乾季での異例の降雨により、本来の開花期ではない時期に花が咲いてしまい、収穫時期が大幅にずれ、本来の生育サイクルとは異なるため生産量が大幅減に見舞われたことを報告。
本来降るはずのない時期の降雨によって、収穫後にカビが生えて品質が著しく低下することも指摘した。
一方、平均気温の上昇で以前は“寒すぎてコーヒー栽培できない”とされていた高地でもコーヒー栽培が可能になったことにも言及した。
環境省の受託事業の一環としてキーコーヒーが作成したパンフレットによると、エチオピアコーヒーのための明るい未来提案として、コーヒーノキの更新・新植の推進・コーヒー豆の乾燥方法の変更などが記されている。
この中で、コーヒー豆の乾燥方法の変更について「ハンドパルパーを使用することで果肉を除去することができ、脱肉してから乾燥させることでコーヒー豆の乾燥期間を短縮することができ、カビの防止にもつながる」と有永さんは説明する。
新種は、シェードツリーの植樹や灌漑、マルチング、カバークロップとともに有効とされる。
ジマ農業研究センター(JARC)では近年、乾燥に強い品種の普及が重要な適応策と考え、耐乾燥品種の育成や普及などに取り組んでいる。
エチオピアではコーヒーチェリーの病害対策も課題の1つされる。JARCは病害対策として「74148」を発表。「コーヒーの未来部シリーズ」第4弾はこれを商品化したものでJARCにも寄贈した。
講義では、第4弾をハンドドリップで抽出し学生に振る舞い、“おいしい”という入口から生産国に興味を持ってもらうきっかけづくりも行った。
環境省の受託事業終了後も、小規模コーヒー生産者への支援活動は継続しているという。

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