▼また別の週末。せっかく締めた財布の紐が、「物産展」で一気に緩む。試食の誘いを上手く潜り抜けたと思いきや、会場を出た時には買い物袋に戦利品がしっかり収まっている。「調子に乗り過ぎた」という反省と「たまにはいいじゃないか」との言い訳が交錯する。
▼物価高が進む中で、「メリハリ消費」がよく言われる。普段は質素な生活でも、自分が好きなものや、ここぞというときには出費を惜しまないというものだ。「推し活」はその好例だろう。しかし、外食や旅行などの身近な贅沢においても、メリハリをつける余裕すらなくなってきたというのが庶民の実情ではなかろうか。
▼株価が最高値を更新しても実質賃金は上がらぬまま。連日目に映る、耳にする権力争いの果てが、さらに人々を追い詰めることにならぬよう祈るばかりだ。