食肉加工メーカーのなかでも、スーパーの精肉・惣菜部門向け業務用商材を得意とするのが米久だ。今年で創業60周年を迎えた。


 「60年前の肉屋さんは、自分のところで焼豚などを作っていた。創業者がそこに着目。面倒な作業を代わりに行うことでお客様が喜んでくれるのではと、焼豚を製造販売したのが米久の始まり。以来、精肉や惣菜のバックヤードの課題を解決しようと取り組んできた」。

 10月23日に行われた伊藤ハム米久ホールディングスの業務用商品発表会で、同社マーケティング部商品企画室の服部剛弘室長が説明した。

 今年の業務用商品で力を入れたのが、強みを生かした「半調理・肉屋の惣菜」。物価高騰による市場環境の激変から、精肉売場の売れ筋も変化していることに目を付けた。

 「2月以降、(精肉売場の)フライ、から揚げ、コロッケなどが2ケタ増で伸びている。これまで便利な冷食や惣菜を買っていたお客様も、物価が高騰し実質賃金が減るなか、多少手間がかかっても安く買える半製品を求めるようになってきたのではないか」(服部氏)。

 そんなニーズに向け、家庭でひと手間加える半調理品を拡充。冷凍品をバックヤードで解凍してトレーアップし、チルド温度帯で販売するタイプの製品だ。

 一押しは「スパイシーカットステーキ」。
牛肉に比べて手ごろな価格の豚肉を真空調理で仕上げることで、食べ応えある厚みとやわらかさをリーズナブルな価格で実現した。

 また家庭で揚げるだけのフライ系商品では、安心な加熱済みの豚肉を使った「豚玉ねぎ串カツ」や、餃子の中具をカツにした「スタミナカツ」なども発売。

 さらに、ブラックココアで黒さを演出した「溶岩風黒唐揚げ」は、店内競合を避けたインパクトあるから揚げ。真っ赤な“血のりソース”や“マグマソース”をかけて食べる提案で、ハロウィンやクリスマスなどのパーティ需要にぴったりな商材としてアピールする。
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