人口減少率が最も高い北東北三県で「コカ・コーラ」や自販機に注力 みちのくコカ・コーラボトリング谷村広和社長が意欲
北東北3県での同社販売シェアは近年、25~27%で推移
 人口減少率が最も高い秋田県・青森県・岩手県の北東北三県で飲料事業を展開するみちのくコカ・コーラボトリング(本社:岩手県盛岡市)は、「コカ・コーラ」や自販機台数のシェアアップに注力して、北東北3県で最も愛される飲料会社を目指していく。

 総務省が今年4月に発表した2024年10月1日現在の人口推計によると、47都道府県で最も人口減少率が高いのは秋田県(-1.87%)で、次いで高いのは青森県(-1.66%)、岩手県(-1.57%)の順となる。


 9月18日、取材に応じた谷村広和社長は「秋田県のマーケットシュリンクが非常に早いスピードで進行している。ただし、秋田県における当社の販売シェアは25%程度であるため、競合から残りの75%を獲得していけば、人口減少の中でも事業を継続できると考えている」と語る。
 現在、秋田県では、自販機と手売りの両チャネルでのシェアアップを図るべく、本社からデータ分析などの支援を厚めに行っているという。

 北東北3県での同社販売シェアは近年、25~27%で推移。シェアアップは秋田県に限らず北東北全エリアでの課題となる。

 中でも谷村社長は自販機でのシェアアップを重視する。

 「北東北の人口に対する自販機の台数は非常に多いとみており、我々のシェアを高めていく戦略をとっている。シェアを数ポイント上げていきたい」と意欲を示す。

 前期(12月期)は、約2万台あった自販機を500台程度削減し、現在の方針と逆行する動きをとってしまった。

 「効率化を目的に不採算機を撤去し、1台あたりの生産性を高めたものの、台数減少の影響が大きく、結果的に自販機マーケットの縮小を招く一因となってしまった」と振り返る。

 この動きに拍車をかけたのが昨年5月1日に実施した価格改定。

 「キャッシュレスで買われる方はさほど気にされなかったかもしれないが、日本はまだまだ現金の文化であり、10円単位の値上げは消費者の財布のひもをきつく締めてしまった恐れがある」との見方を示す。


 自販機での価格改定は、競合自販機など設置先の周辺環境を踏まえて実施した。

 「一部のカテゴリでは価格を据え置いたりしたが、基本的には値上げ後は回転が落ちてしまう。落ちない自販機ももちろんあるが、総じて厳しい反応であった。コーヒーや果汁、ペットボトルなどの資材を含めて飲料の原材料価格が凄まじい勢いで上昇しており、やむを得ず価格転嫁したのだが、やはり消費者の方々は飲料に対する価格は非常に敏感であることを改めて痛感した」と述べる。

 こうした板挟みの厳しい環境を、谷村社長は「ニューワールド」として受け止め、自販機活性化に向けて知恵を絞る。

 「自販機を復活させないことには、会社全体も上手くいかないと考えている。自販機が我々の店舗と考えると、最大規模の店舗網となり、自販機を今一度大事にしていかなければいけない。いかにして消費者にもう一度、自販機へ足を運んでもらうか、スマートフォンアプリ『Coke ON』を通じたキャンペーンや商品の拡充などメリハリをつけながら再建に取り組んでいるところ」と力を込める。

今期、2Q以降回復 自販機台数も増加傾向

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北東北3県での同社販売シェアは近年、25~27%で推移 今期は、昨年末からの豪雪の影響で第1四半期(1~3月)が苦戦を強いられたものの、第2四半期以降、プラスで推移している。

 「昨年も今年も、春先が不安定。北東北の地域性なのかもしれないが、この時期、消費動向の乱高下が激しく、それに左右されてしまった。だが、第2四半期以降は、北東北でも猛暑が続いたことで第1四半期のマイナスを取り戻し回復基調にある」と説明する。


 自販機の台数も再び増加傾向にある。新しいロケーションを獲得して、設置台数は今期、再び2万台に上る見通し。
 「台数増に対して効率化はそこまで進んでおらず収益は大きく改善していないが、シェアや売上高は伸びてきているため、自社内でしっかり効率化とDX化を進めていけば、収益化できる」とみている。

 効率化の一環として、設置先の理解を得ながらルートセールスの生産性の維持に努めている。

 「コロナ前まで、品切れランプが灯り設置先さまからご連絡をいただいたら、すぐに駆け付けていたが、このようなことをやっていると輸送車の走行距離が嵩み環境負荷もかかってしまう。現在は、設置先の売れ筋を見極め、品切れランプが点きにくいよう商品の装填本数をコントロールしている」という。

 自販機が回復基調にある中、手売りチャネルでは、昨年10月に実施した価格改定が小売店の理解を得ながら順調に浸透している。

 「営業の頑張りで、シェアをある程度維持しながら手売りチャネルで価格改定を実行できたのは大きな一歩だった」と総括する。

原点回帰し「瓶コーク」訴求強化

人口減少率が最も高い北東北三県で「コカ・コーラ」や自販機に注力 みちのくコカ・コーラボトリング谷村広和社長が意欲
「瓶コーク」をアピールする谷村広和社長
「瓶コーク」をアピールする谷村広和社長 営業施策としては「コカ・コーラ」の露出拡大に注力。料飲店に向けては「瓶コーク」での飲用体験の価値を高めるため「パーフェクトサーブ」を提案している。

 「パーフェクトサーブ」は、3℃に冷やした「コカ・コーラ」の瓶を用意し、グラスの「コカ・コーラ」ロゴの上までキューブアイスを入れる。次に、専用コースターの上に瓶とグラスをセットし、栓を開ける。
最後に、グラスを少し傾け、泡が立ちすぎないように「コカ・コーラ」のロゴの中央まで注いで完成となる。

 「コカ・コーラビジネスの源流である飲食店で『瓶コーク』を前面に押し出し食事と一緒に楽しんでいただけるように提案を強化している。我々としては、よりおいしく味わえる瓶でお客様に飲んでいただきたい。瓶での飲用体験により『コカ・コーラ』休眠層を掘り起こし、今まで『コカ・コーラ』を飲んだことのない方も獲得していきたい」との考えを示す。

 上期は期間限定で、勤務時間を一時的に後ろにずらすなどして夜の営業を実施。「エリア内の飲食店をローラー作戦で次々と訪問し、お店のオーナー様と対面でお話をさせていただいた」という。

 店頭にはウィズミールを提案。

 これまでの展開で「唐揚げなどの総菜売場で『コカ・コーラ』や『綾鷹』とのセット販売を実施したところ、お取引先様からご好評をいただき、ローカルのTV番組に取り上げられるほど盛り上がりをみせている」との手応えを得る。

 エントリー層へのアプローチとしては、250ml缶をトライアル商品と位置付けて店頭に押し出している。「『コカ・コーラ』の飲用習慣を獲得すべく、250ml缶を販促として活用し、値頃感を持たせてケース販売している」と説明する。

 上期好調なブランドは「コカ・コーラ」「綾鷹」「ファンタ」など。新商品では3月に発売開始した「ミニッツメイド ゼロシュガー レモネード」が「非常に好調」と胸を張る。


 今年も10月1日に価格改定を実施し、今後の販売動向については、コーヒーと緑茶カテゴリで厳しさが増すとみている。

 「コーヒー豆などの原材料価格は上がり続け高止まりにもなっていない。日本茶も高騰しており、原材料の上昇に価格の上昇が追いついていない。一方、コーヒーとお茶は価格弾性力が大きく、値上げをするほど消費離れが進む傾向にある。その上、競争は激化している。我々はトップシェア企業として価格を維持していく方針だが、現場では火花を散らしており苦悩の連続。戦い方を考えないと商売として成り立たなくなり、来期に向けて日本コカ・コーラと議論している最中」と語る。

各地域の課題に対応 支援自販機などを通じて

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チャグチャグ馬コを未来に残す支援自動販売機
チャグチャグ馬コを未来に残す支援自動販売機 みちのくコカ・コーラボトリングは、北東北エリアで他の飲料会社を凌駕する多くの拠点を構え、地元に密着してニーズに即応できる体制を整えている。

 拠点数は本社・工場含め26拠点。各拠点で社員が地元のニーズや課題をつかみながら同社の事業活動にもつながる形でソリューションを提案している。

 その最たる提案は、ラッピング自販機や支援自販機の設置となる。
 「北東北は各地域、市町村単位でみても伝統行事がたくさんあるのだが、その担い手の確保などが難しくなり、自販機を通じた支援のニーズが非常に高まってきている」と語る。


 自販機を通じた支援の一例に、6月、滝沢市役所(岩手県)に設置した「チャグチャグ馬コを未来に残す支援自動販売機」がある。

 「チャグチャグ馬コ」とは岩手県に伝わる伝統行事を意味し、同自販機は、売上の一部を寄附することで、農用馬の飼育頭数の減少や後継者確保などといった継承への課題を抱えているチャグチャグ馬コを支援するもの。滝沢市と協働して除幕式を開催するなどして周知も図った。

 「支援自販機設置のニュースで注目度が高まると、寄附先さまが自販機を起点にクラウドファンディングなど支援金を集めるための別の施策も実施しやすくなる」といった副次的な効果も見込める。

 環境配慮による企業価値向上が図れるものとして「カーボンオフセット自動販売機」の設置も推進。

 今年、一号機を北日本造船(青森県八戸市)、二号機をキオクシア岩手(岩手県北上市)に設置した。「以前から環境配慮に取り組んでいるのだが、そのことが上手く伝えられていない企業さまに喜ばれている。リクルートにも寄与し、環境配慮訴求のニーズは広がっていくとみている」と述べる。

人口減少率が最も高い北東北三県で「コカ・コーラ」や自販機に注力 みちのくコカ・コーラボトリング谷村広和社長が意欲
来期は3か年の中期経営計画の最終年度にあたる
来期は3か年の中期経営計画の最終年度にあたる 自販機や商品以外にも社会に貢献している。1月には、米大リーグ・エンゼルス所属の菊池雄星投手がプロデュースする日本最大級の全天候型複合野球施設「King of the Hill(K.O.H)」とスポンサー契約を締結。

 同施設は、トレーニングのための最新機器や設備だけでなく、カフェテリア、地域交流の場となるコミュニティスペースを備えている。

 契約締結の決め手について「単なる練習施設ではなく、身体能力を科学的に測定する施設で、“子どもたちにより良いスポーツの環境を提供したい”“スポーツ人口を増やしたい”という菊池選手の想いに賛同した」と語る。


 来期は3か年の中期経営計画の最終年度にあたる。引き続き地元に密着しながら自販機の立て直しに注力し、基幹システムを入れ替えて営業の土台づくりにも本腰を入れる。

 「来年1月に現行の基幹システムがカットオーバーとなり、新・基幹システムに移行して本格的なDXに向かっていく。実は1つの製品(1SKU)には、ロケーション別・時間帯別販売データなど様々な情報が紐づいており、現在、データクレンジングといって、それらの膨大なデータを整理している。来年は新・基幹システム構築の1年となり、来年後半ぐらいから需要予測や推奨ルート、推奨製造順番などのツールとして試験的に活用できるかもしれない」との考えを明らかにする。
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