■「一流専門店に学ぶ」
上期(4~9月)の同社売上高は前年クリア。業態別にみると、「お水がいらない」シリーズを主力に展開する量販店ルートの伸びが高かった。前年同期は有名店「天下一品」の監修商品がヒットし2ケタ増と高水準だったが、今期も「同 鍋焼うどん」を中心に前年並みで推移。「50周年大感謝祭」と銘打った同社最大級のプレゼントキャンペーン(期間:8月19日~26年4月30日)でもバックアップしている。
削り節のイメージ 25年8月、「お水がいらない 鍋焼うどん」をリニューアル発売した。最大のポイントは、筑波工場と大阪工場にかつお節などの節を削る新設備を導入し、だしの風味向上を実現したことだ。
白潟社長は「われわれは冷凍麺専業メーカーとして『専門店を超える専門店になる』ことを目指している。削り節をよりフレッシュな状態で使用できる効果は大きい。原材料の情報に踏み込み、削り方のノウハウを積み、さらにだしのおいしさを追求できるようになった」と期待を寄せる。
設備導入のキッカケは7年前、白潟社長が自身の高校の卒業名簿で見つけた広告欄にある。同窓生の医者や弁護士などの情報に交じり、後輩に削り節機械メーカーの経営者がいることを知った。話を聞けばミシュランの星を取ったレストラン店舗にも小型の機械を納めているという。
「一流の料理人が採用するからには必ずワンランク上の価値があると想像した。レストランでは超薄削りにしたかつお節を料理の最後に添え、香りを引き立てたりしているようだ。われわれもまずは小型の機械を購入し、開発メンバーがテストを始めた」(白潟社長)。
その後、コロナ下における「お水がいらない」シリーズの需要急増で新商品開発の停滞を余儀なくされたが、約2年前から再び削り節の研究・開発を本格化。相応の品質向上が見込めると判断し、工場に技術導入することを決断した。
当面、削り節機は「鍋焼うどん」のだし専用で使用する。今後について、白潟社長は「まずわれわれが機械を使いこなせるようになることが大切。その上で将来は和だしを使ったラーメンなどにも活用できれば」と展望した。
■「だしの作り置きはしない」
「お水がいらない 鍋焼うどん」のだしにはもう一つ大きな秘密がある。それは作り置きを一切しないことだ。工場で製造当日に使用する予定の量だけを製造して急速冷凍するという。かつお節をはじめとする3種の節、昆布、椎茸などで熱々の白だしを作り、さらに枕崎産の追い鰹で香り高く仕上げ、それに醤油やみりんを合わせる。
白潟社長は「こだわりのうどん専門店はだしを作り置きしない。それを当社の工場でも踏襲している」と胸を張る。
ただし、14年に親会社の月桂冠から出向してきた際、工場の現場を見て「(当時の自身は)キンレイが効率度外視でモノづくりしていることに驚いた。もっと効率化できるのではないかと思った」と冗談交じりに振り返る。
そんな中、いまに続く三層構造の「鍋焼うどん」が1975年に誕生。当時は、関西風のだしに、麺は讃岐うどんのようなコシを追求した。「創業時から専門店の製法を学んだと聞いている。モノづくりに対する志の高い考え方は、われわれにも脈々と受け継がれている」(白潟社長)。

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