大手食品メーカーの年末会見では「不確実性の高い事業環境」という言葉をよく聞いた。将来の結果や状況が予測しづらい状態のことを指すが、ある経営者はユーモアを交え「これから先に何が起こるか分からないことだけが分かっている」と話す。


▼背景には近年経験したことのない急激なコスト上昇や消費の変化がある。特に物価高で定番商品と廉価商品の価格差が広がり、そのすき間を埋める価格帯の商品が求められるようになってきた。各メーカーはプロダクトミックスを低価格にシフトしたり、新たな規格・包装形態を工夫したり、手に取りやすい商品の提案を急ぐ。

▼とはいえ収益基盤を支えるのはどの企業も定番商品。その復活なくして持続的な成長は望めない。一時的に価格対応を強化しつつ、遅かれ早かれ定番回帰を図っていくことになる。

▼各社の経営トップは厳しい消費環境であることを認めながら「ブランド力をさらに磨く」「価値創造に注力する」と意気込む。足元の変化を好機に変えることはできるのか。食品メーカーにとって腕の見せどころになりそうだ。
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