「ひろしまパスタ」は2023年5月に広島市で開かれたG7広島サミットをきっかけに、パスタを通し広島の食材を広く知ってもらおうと始まったもの。宮島の大鳥居、もみじ、広島カープなどをイメージし、赤いトマトソースを使ったパスタメニューを飲食店などへ提案した。
2年目の昨年は西日本高速道路サービス・ホールディングスと連携し、県内のサービスエリアで4種類の「ひろしまパスタ」を提供したほか、夏休みには小学生を対象にしたメニューの募集を実施。
今年春には、そのメニューコンテストでグランプリを獲得した「ぜいたく広島まぜまぜパスタ」を、地元スーパーのイズミとフレスタが惣菜として商品化した。瀬戸内海のしらすや広島菜、がんすなどを使った地元色豊かなパスタで、3月にカゴメ中四国支店で開かれた披露式には湯﨑英彦知事(当時)も訪れ、メニューを考えた小学生たちを表彰した。
食イベントではリュウジさんがPR フレスタの谷本満社長は「食育と地産地消だけでなく、郷土愛とカープ愛が詰まった企画。地元創業のスーパーとして、商品化する意味は大きい」と強調。イズミ・デリカ本部の柳井忠利本部長は「われわれが思いつかないような、子どもらしい楽しさのあるメニュー。実際に店頭でも、親子連れが手に取る姿が見受けられる」と話した。
また、カゴメ中四国支店の簗田衛支店長は「今回、デリカで商品化してもらえたのは大きな前進。今後は家庭用のパスタメニューとしても定着させ、外食・中食・内食へと広げたい」と意気込みを語った。
6月にはセブン-イレブン・ジャパンが夏向けに「冷製パスタ 世羅町産トマトのレモンソース」を、11月には「広島県産きのこのトマトクリームパスタ」を発売し、今年は第4弾まで展開した。
広島の“推し食”にも
10月末に広島市で開かれた食の一大イベント、ひろしまフードフェスティバルでは、人気ユーチューバーで料理研究家のリュウジさんが考案した「豚肉とわけぎのナポリタン」を1000円(キャッシュレス払い)で提供。リュウジさんが登場すると、パスタを買い求める長い行列ができ、購入した男性は「和風のイメージがあるわけぎだが、ケチャップとの相性が良く完食した」と満足そうに話していた。リュウジさんは「地産地消は大切なこと。メニューを通し、地元にある食材の価値を多くの人に知ってもらいたい」と語った。
また、広島県が「広島の多様な食資産を県内外の人に広く知ってもらい、地域経済の活性化につなげたい」(農林水産局)と開催した「OK!広島(おいしいけぇ、ひろしま)推し食グランプリ」にも参加。お好み焼や牡蠣に次ぐ広島名物を目指しエントリーした31の“推し食”の中から、「ひろしまパスタ」はファイナリスト5組に選ばれた。
惜しくもグランプリは逃したが、中四国支店の末永汐璃さんは「今回参加したことで多くの人たちに共感してもらい、『ひろしまパスタ』の広がりを実感できた」と語った。このほか、今秋は「ひろしまパスタ総選挙」を実施。県内約50の飲食店がエントリーし、オリジナルの「ひろしまパスタ」メニューを提供した。
先述の通り、今年はスーパーやコンビニなどの惣菜売場に採用され、外食だけでなく中食市場にも浸透しつつある。今後は、学校給食での導入を目指す。
今年はひろしま給食推進プロジェクトによる「100万食メニュー募集企画」の特別部門に「ひろしまパスタ」を設定し、「ひろしま菜ッポリタン」など小中学生が考案した3種類が選定された。
中四国支店の増田瑠美子営業推進グループ長は「給食にも『ひろしまパスタ』を登場させるなど、真のご当地メニューになるような取り組みを進める。また、家庭内への浸透を目指し、量販店と一緒に提案を強化する。広島の新たな食文化として定着するよう、共感いただける人を増やしていきたい」と力を込める。

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