■従業員のモチベーション上がる
セブン&アイ・ホールディングス傘下でスーパーストア(SST)事業を担ってきたヨークHDは、25年9月に親会社が米国投資ファンドのベインキャピタルに変わり、新たな経営体制で再スタートを切った。下期以降の数字は公表していないが、「業績は確実に上向いている」(石橋社長)。
イトーヨーカ堂は23年に改革を打ち出して以降、首都圏にフォーカスする一方で北海道・東北・信越エリアから撤退。30店舗以上の閉店を断行した。さらに販管費の抑制を徹底的に追求し、ネットスーパーからも撤退するなど、筋肉質な経営体制への転換を目指してきた。
足元でもっとも注力しているのが既存店の改装だ。石橋社長は「新店は昨今の人件費や建設費などのコスト上昇で投資回収に時間がかかる状況。まずは既存店をどれだけ磨き上げられるかが一丁目一番地の優先事項だ。改装は26年に20店舗以上、28年までに50店舗以上を計画」との方針を示す。
23年から着手し、先行した店舗での効果は大きい。特に食品領域は改装店で売上が6・5%も伸長(25年/24年)。
石橋社長は「改装は既存の売り場をしっかりとブラッシュアップした上で行っている。これをやるとやらないでは効果が劇的に違う。(改装した店舗では)従業員のモチベーションも上がった」と自信をのぞかせる。
デリカについては「お客様が買い回りしやすい売り場づくりを工夫した。自社工場のピースデリを中心に、ヨークベニマルとの相互連携も図り、構成比15%の目標を確実に達成したい」との考え。
主要な店舗をみると、トップクラスの旗艦店である木場店(東京都江東区)は昨年11月に行った食品売り場の改装が奏功、売上は5%成長が続く。「改装は大型店を優先的に進めている。収益への貢献が大きく、業績を押し上げている」。
今後は「まずは既存店投資をやり遂げ、そこで蓄積したノウハウも踏まえ、新店への横展開を図っていく。ヨーカ堂は将来的に首都圏シェア№1を目指す」と展望する。

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