即席麺の物流を支える日清エンタ―プライス 効率化や負担軽減で持続可能性追求
受注品は事前に用意
 即席麺市場の最大手、日清食品グループの国内物流ネットワークを支える日清エンタープライズ(日清EP社)。本紙などが加盟する即席ラーメン記者会8社は、日清食品関西工場の物流現場を視察する機会を得た。
2018年10月に本格稼働した最新工場においても、日清EP社は先進的なシステムや機器を積極的に活用。持続可能性をキーワードに物流の効率化や負担軽減を追求している。

トラックの作業時間を大幅短縮

 関西工場の出荷作業は完全パレット化を実現。工場後方のスペースには10本のバースが並ぶ。多い時には1日120台もの大型トラックが行き来するが、受注商品は前日までにシャトルラックへのピッキングを済ませており、積み込み作業はスムーズに行われる。ちなみに10トントラック1台に「カップヌードル」なら2160㌜(4万3200食分)を詰め込める。

 積載効率を高めるため、ケースを積む段数を上げる工夫なども随時検討中。ラップ自動巻き機を使って荷崩れ防止や運びやすさにも配慮する。

 独自に開発したトラックの受付と誘導システムで待機時間を削減したこともポイントだ。
 
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受注品は事前に用意

 同社によると、従来はトラックの待機時間とバラ積み作業のトータルで2~3時間を要していたが、関西工場は平均53分に短縮できているという。

 パレット(T12型)は最大2万枚の保管スペースを備え、自社保有を主力に使用。ごみの付着や割れの有無をチェックするとともに、1日約4000枚を約60℃で洗浄し約100℃で乾燥する。


 倉庫内でパレットの運搬には無人フォークリフト「AGF」を活用。労働力不足が課題となる中、人手では負担の大きい作業をロボットが24時間稼働で代替している。

「AIとロボットを積極活用」深井常務

 現地で取材に応じた日清食品の深井雅裕常務取締役事業統括本部長兼Well-being推進部長は「日清EP社はAIとロボットを積極活用していく」と話す。

 自身が経済産業省や国土交通省など行政と密に連携する「フィジカルインターネットセンター(JPIC)」で理事を務めており、物流にかかわるあらゆる分野にインターネット通信の概念を適用した次世代の共同輸配送システムの実現が念頭にあるようだ。

 トラックやフォークリフトなどを含め、商品の入出荷にかかわる作業を限りなく自動化することで、「ロボットを中心に24時間働き続けても無事故の理想的な世界に近づける。かつてはどんな作業も人の手で行っていた。AIは日々の進化が目覚ましく、物流の生産性を上げるために重要な切り口になる」と話す。
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