2026年の幕が上がった。高値続きの原材料価格、円相場の不安定性、労働力不足、物流2024年問題の余波など、業界全体を覆うフレキシブルな変化は、生活者の食に対する意識、価値観の変化ももたらした。
末端売場でもデジタル化が進み、生成AIをはじめとするテクノロジーも浸透している。

 消費の変化も今年さらに加速することが予想されるが、消費者の目線も「安さ」「値頃感」優先から「価値観」にも重きを置く次のフェーズに入る。食品業界はこれまでも、環境変化に対応し様々な障壁を乗り越えてきた。社会構造、産業構造、経済構造がかつてないスピードで変化していくこの潮流を乗り切らなくてはならない。

業態を越え越境する流通 消費もボーダーレス購買へ

 4年続いた食品の値上げラッシュにより、生活防衛意識の定着が消費者の多くは価格に対する価値感覚がより敏感になり流通PBが隆盛となっているが、価値に対する見極めも鋭くなっている。「安ければよい」だけではなく「理由のある価格、値上げなら選択する」ようになった。

 食の購買チャネルも幅が広がった。GMS、SM、CVS、DgS、EC、中食・外食デリバリーと百花繚乱で「何を買ってどこで食べるのか」「どこで買って何を食べるのか」など、選択肢の幅が大きく広がった。

 選択肢の拡大は内食、中食、外食のボーダーレス化にも波及。食品SMでは惣菜の店内調理強化、外食大手は自社ブランドの加工食品や惣菜売場参入も進めている。EC各社も“ミールキット”の品揃えを強化しているが、内食、中食、外食それぞれがパイの争奪戦を繰り広げていく。

食インフレを契機に食の価値啓もうを

 食のインフレを機に、消費者には食品のコスト情報が開示されるようになった。
「安さ」や「タイパ」など消費者が求めるコンセプトに叶った商品の背景には、業界努力、企業努力がある。

 安心安全、環境関連の切り口であるオーガニック、サステナブル、アップサイクルなどの付加価値コンセプトも同様だ。だが、これらの付加価値を提供するためのコストについても消費者に正面から向き合って知らしめた上で、価値を認めさせる形が不可欠だ。

 小売圧力の中で値上げを実施した第一フェーズよりさらに困難な障壁だが、提供する商品あるいはサービスの価値を消費者に評価させることは、企業の存在理由の証でもある。技術に優れ、地域性、専門性、物語性などを打ち出し、この障壁を突破したい。これは卸売業も同様だ。昨年の物流2024年問題がさらに深刻さを増すが、共同配送からさらに発展し、SKU削減、棚割り構造の変革、定番商品の大幅集約などの施策も見込まれる。

 2026年は、食品・流通業界の真の存在価値を知らしめる一年となる。変化の潮流は大きく速いが、どう対応するか、どう準備するかの選択が企業の、業界の将来を決める。業界が自らの役割と使命を問い直し、新たな成長軌道を描く一年となることを強く期待したい。なることを強く期待したい。
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