暦が改まり、令和八年の幕が開いた。新しい年の始まりに屠蘇で酔う前に考えたいのは、正月の食を丁寧に戴きたいということだ。
雑煮やおせち、餅はいずれも先人が知恵を凝らし、歳神を迎えるために磨き上げてきた料理である。食は文化と言われるが、それぞれに相応しい来歴と意味があるのを知るのも楽しい。

▼地域ごとに具材や味付け、餅の形は異なる。しかし突き詰めれば、家族の健康、子孫繁栄、日々の安寧を確かめ祈る心が込められている。その思いを確かめるためにも、噛み締め感謝しながら味わいたい。

▼食は近年、価格や効率で語られがちだ。時代の趨勢とはいえ、価値ある一皿の背後には、生産、加工、物流を担う人々の大きな労苦がある。

▼価格も重要だが、その努力と工夫はもっと称えられてよい。今年は丙午。火の情熱で、食と食品産業の価値が認められ、新しい立ち位置へ更新される元年となることを願い、私も力を尽くしたい。静かな正月の膳に、その未来への兆しを見たい。小さな一口が社会を支えていると信じ、元旦に改めてそう思う。
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