価格改定や価値提案による緑茶飲料の単価アップが急務となる。背景に抹茶需要の高まりによる原料茶葉の急騰と止まない価格競争がある。
原料茶葉の中で緑茶飲料用の引き合いが強い秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)は鹿児島茶市場で6倍近い平均価格での取引となった。その一方で、コストアップ吸収のための価格転嫁には価格競争が立ちはだかる。

 秋冬番茶の急騰を受けて、3月1日出荷分から価格改定を実施するのは「お~いお茶」(伊藤園)と「綾鷹」(コカ・コーラシステム)。

 2ブランドとも一部商品を除き税抜メーカー希望小売価格で小・中容量を20円、大容量(2L)を30円引き上げる。

 伊藤園の本庄大介社長は昨年12月に価格改定の背景について「秋冬番茶は、従来1㎏当たり300円前後で推移し高くても500円までいかなかったが、10月半ばに1㎏3400円になり、その後2000円台に落ち着くものの、お茶のカテゴリだけで言うと飲料市場は大変なことになっており急なことでわれわれも戸惑っている」と述べる。

 コカ・コーラボトラーズジャパンのアレハンドロ・ゴンザレス・ゴンザレス執行役員リテールカンパニープレジデントも10月に「下期(7月)以降、茶葉の価格が継続高騰しており、昨年の3~5倍水準に達することが見込まれ、業界全体に大きな影響を与えるものと考えられる」と危機感を募らせる。

 原料茶葉高騰の主要因は、世界的な抹茶ブームにある。抹茶原料となる碾茶への転作が一気に進んだことで緑茶飲料の原料茶葉となる煎茶の生産が減少し、秋冬番茶の急騰に至った。

 伊藤園の本庄社長は「本当に世界中から抹茶のオファーが中間業者を経ずに直接農家さまに入ってくる。従来お茶を作ってくださっていた農家さまも抹茶の原料である碾茶の生産に転換していき、緑茶の量が少なくなっている。今後、抹茶のブームが世界中で同じように続くかどうか分からない。一過性なのか今後も高値が継続していくのか注視していく」との見方を示す。


 抹茶ブームが緑茶飲料のコストアップ要因になっている半面、お茶の生産現場が儲かる農業として脚光を浴び、にわかに活気づいているという。

 長らく茶価低迷に苦しめられている茶農家にとって茶価の上昇は悲願。この動きを一過性の動きで終わらせず持続可能な茶生産につなげていくには、農家の高齢化など諸課題への対応とともに、安定的な需要が見込める緑茶飲料の単価アップが求められる。

 緑茶飲料市場の現状は、節約志向の高まりにより比較的安価なPBや価格訴求型の新興ブランドが支持を拡大し、一部でこれにNBが巻き込まれるようにして価格競争が続いている。

 こうした中、主要NBの大容量の多くは昨年、価格競争とは一線を画した模様で、需要がPBに流出してしまい、数量を落とすこととなった。

 単価アップや価格を維持しようとすると販売数量を大きく落としかねず昨年、主要NBの大容量ではこのような動きがみられた。

 価格競争に巻き込まれながらも利益を得るには、PBのように広告宣伝費をかけずに工場の稼働率を上げてボリュームを追求しなければならず、体力勝負の色合いが鮮明になっている。

 少子高齢化が進む中、一辺倒にボリュームを追求するやり方は長期的に利益が創出しにくくなり、茶業界や飲料業界を疲弊させる恐れがある。業界の持続可能な成長には、価格改定や価値提案による緑茶飲料の単価アップが急務となる。

(1月12号本紙に「新春飲料特集」)
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