だからこそ、歌舞伎座横に店を構える銀座やまうには、古き良き銀座の時間が息づいている。全国から選りすぐった漬物を集め、上階の喫茶では、観劇後の余韻をゆっくりと受け止めながら、漬物と甘味を楽しむことができる。
歌舞伎の街・木挽町
観劇のあと、その余韻のまま立ち寄り、会話を交わしながら漬物を選ぶ。「歌舞伎の日はここに来る」という流れが、いつしか習慣になっている。その日常を支えているのが、店長の石関氏だ。
石関氏:店長に就任して2年になる。もともと漬物業界にいたわけではなく、20年以上携わってきたカフェ業界から現職に就いた。提供するものは今と全く異なるが、「質のいいものを、どうお客様に届けるか」「ちょっとした幸せや、生活を豊かにする体験をどう作るか」という部分は、今の仕事と大きく変わらない。
銀座は再開発が進み、昔ながらの店は姿を消しつつある。お客様からも、「馴染みの店が無くなっていくのが寂しい」という声を聞く。だからこそ、店内は少し落ち着いた雰囲気で、気さくな会話が生まれる古い良き銀座を感じてもらえる場所でありたい。
当店は歌舞伎座横に位置しており、観劇後に利用されるお客様が多い。歌舞伎を観て、その余韻のまま食事をして、漬物を選んで帰る——一日全体をひとつの体験として楽しまれていて、「歌舞伎の日はここに来る」という流れが習慣になっている方も少なくない。
そうした流れがあるからこそ、店頭に新しい漬物を並べたときの反応も心に残る。最近、印象的だったのは、冬が旬のすぐきを店頭に出したときの反応だ。関東ではあまり馴染みがないとされているが、実際に販売してみると、ご存じのお客様も多く、特に姿物が珍しいと好評だった。
その話を、初めてすぐきを見るお客様に食べ方としてお伝えすると、「そんな使い方があるんですね」と興味を持たれる。
最近は、ご飯のおかず以外の食べ方について相談されることも増えてきた。そのような時は、お客様から伺った、茄子の辛子漬を刻んでおでんの辛子代わりに使ったり、納豆に合わせたりするアレンジをお伝えすることもある。すると「その発想はなかった」と話が広がっていく。こうしたやり取りそのものが、店の楽しさになっていると感じている。
若い女性グループの来店も増えており、漬物の盛り合わせを頼まれることもある。初めて目にした漬物でも、試食で「美味しい」と購入される方もいる。
全国には、地域ごとに大切にされてきた漬物があり、当店はそれを人につないでいく役割がある。普段使いの漬物があり、今日は少し贅沢を愉しみたいと思ったときに、銀座やまうという選択肢があることで、お客様の食を選ぶ楽しみを広げていけたらと考えている。
当店の漬物は素材や製法にこだわっており、決して安価ではない以上、それに見合った価値を届けたい。お客様に納得して選んでもらい、その結果として、時間を少しでも心豊かなものにできていれば何よりだ。
【銀座やまう】について
2017年オープン。
2階・3階の茶房では、甘味や軽食を漬物とともに提供。江戸時代の汁粉と漬物の組み合わせなど、食文化の文脈を意識した提案も特徴だ。開店から9年目を迎えた現在も、世界観を守りながら営業を続けている。
贈答分野での評価も高い。ご贈答詰め合わせ「若草」は、ぐるなび運営「こちら秘書室」公認『“接待の手土産”セレクション2025』で「特選」に選出された。現役秘書がビジネスシーンに相応しい手土産を選定する同セレクションにおいて、特に高い評価を受けた商品に与えられる称号だ。

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