獺祭、輸出+免税でクリア
旭酒造の清酒「獺祭」。海外で強いブランド力を誇るが、1~5月の輸出額は米国などが苦戦し前年割れを余儀なくされた。ただし免税売上は劇的に回復。輸出の減少分をカバーし、「輸出+免税」の合計では前年クリアした。同社は「日本酒の輸出が将来有望なことに変わりはないが、短期的に米国はインフレ、中国は景気停滞で飲食店ルートの動きが鈍っている」との見方を示す。
米国向けの輸出について、国内の清酒大手は「物価高の影響に加え、昨年前倒しで出荷した流通在庫の消化に時間がかかっている。実需は堅調な側面もあり、在庫過多が解消されれば年後半にかけて回復を見込める」と説明する。
白鶴酒造の1~5月の清酒輸出実績は、アジア地区で高価格帯の動きが良いものの、主力の北米が苦戦、トータルで前年割れ。
宝酒造インターナショナルの1~5月の清酒輸出実績は、米国向けが前年の反動で縮小し、英国や韓国は伸びるもトータルでマイナス。今後、米国は現地の在庫消化で回復を見込む。商品では43か国(22年12月時点)に展開するスパークリング日本酒「澪」の拡販に注力し、香りに特長がある「昴」も好評のため各国への浸透を図る。
中国人の訪日増に期待
インバウンド需要の回復に関連業界が沸いている。国際線の旅客数はコロナ前に戻り切っていないが、成田国際空港の広報部によると「一部店舗で日本酒の売上は継続的に19年同期比を上回っている」。円安の影響もあり、高単価製品が好調だという。
羽田空港を運営する日本空港ビルデングも「国産酒類の免税店売上は1~5月で19年比を大きくクリア。なかでも日本酒は直近5月の売上が過去最高になった」(広報・ブランド戦略室)と説明。また両者とも「秋頃にかけて中国人旅客の戻りが予想され、今まで以上の販売を期待している」と話す。
このほか、百貨店についても免税売上が復調を見せているが、中国本土からの訪日客が少ない影響で、コロナ前には届いていない。
松屋銀座では「和洋酒の免税実績は前年比こそ大幅増だが、19年比はまだ半分程度」との状況。ただし「従来よりもスタッフが日本酒の品質やおすすめを聞かれることが多くなった。日本酒に詳しい方が増えた印象」と変化を話す。来店が多いのは欧州、韓国、台湾、シンガポールなどからという。

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