一方、今期は「しぼりたて ギンパック」シリーズが「IWC2023(SAKE部門)」の「グレートバリュー・チャンピオン・サケ」受賞効果で伸長。台湾やシンガポールなどアジアで小売ルートの開拓が進んでいる。
輸出の取り組みなどについて、海外事業部海外事業課の良津智成課長、福井雅人課長代理に聞いた。
中国人社員が市場開拓
「菊正宗」の海外輸出が始まったのは1877年、今から140余年前にさかのぼる。その後、しばらく大きな進展は見られなかったが、成長軌道に乗ったのは中国市場への進出を本格化させた2012年頃だという。
キッカケは、同国で“本流辛口”の味わいが評価されていたことに加え、「菊正宗」のブランドが想定以上に浸透していることが分かったからだ。日本の大学に留学していた中国人の王文長(おう・ぶんちょう)氏を新卒で採用し、現地代理店と同行するなどしてきめ細かな市場開拓に乗り出した。王氏は日本で学んだ経験から、両国の橋渡しになるような仕事に携わりたいとの想いがあったという。
主力品は定番の「上撰 本醸造 1・8L」、ロングセラーの「樽酒 300㎖」。和食レストランや日本式の居酒屋を中心に、小売ルートでの取り扱いもある。
また、「菊正宗」のロゴを全面に押し出した輸出専用ラベルの「純米大吟醸」も人気。銘柄の知名度が高いことを強みに、ECでの売れ行きも上々だ。
「ギンパック」「百黙」が伸長
「ギンパック」にIWC効果23年4~11月の輸出実績は、中国市場が景気減速を背景に需要が振るわず、前年を下回っている。約30か国・地域に出荷し、上位は中国、アメリカ、香港、シンガポール、オーストラリアなど。
厳しい環境のなか、「しぼりたて ギンパック」は前期比約2倍と好調だ。「IWC2023(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」で史上初となる「グレートバリュー・チャンピオン・サケ」2度目の受賞(19年、23年)が追い風になっている。高品質でコストパフォーマンスに優れたことが評価されたもので、直近で台湾やシンガポールのスーパーに採用されるなど露出が広がっている。パック製品ながらフルーティーな酒質が好感され、飲食店での取り扱いも増加傾向。
「百黙」は、アメリカやオーストラリア、シンガポールを中心に出荷し、22年度の実績が大幅に増えた。同社が最高品質を目指した限定ブランドだが、「純米大吟醸」を筆頭に、ブレンド技術を生かした「Alt.3(オルトスリー)」の評価も高い。定番の「菊正宗」とは別路線をターゲットに、高級店の市場開拓に一役買っている。現在は約12か国に展開。

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