大空に羽ばたく鳥が、自分の意のままに滑空し、旋回し、そして自分のところに帰ってくる。そんなことが出来れば、さぞかし楽しいことだろう。
飛んでいる姿を見ると、まるで本物の鳥である。2つの羽をバタバタと羽ばたくのが特長。昨今はやりの無人航空機「ドローン」の鳥型タイプとでもいうのだろうか。それが『アビトロンv2.0』である。

手に持って驚くのは、まずその軽さ。手のひらサイズの小鳥が、重さわずか8.85gしかない。
胴体部分は、発泡スチロールのような弾力性のある素材でできていて、背中部分の穴からアルミ製のヒートシンクがのぞく。胸の両サイドにエアインテークがあり、胴体後部には、充電用のコネクターと電源スイッチが配置され、この胴体の中は、かなりのハイテクが詰まっていると想像できる。
コントローラーのレバーを動かすと、2枚の羽が、勢いよくバタバタと羽ばたき、そのまま胴体を静かに空中に押し出すと、『アビトロンv2.0』は、大空へと飛び立っていく。

この機体、開発はフランスのXTIM社。そして、この本物そっくりのバイオニックバードを輸入・販売するのはラジコン模型の老舗・京商(神奈川県厚木市)である。
手を離れて空へと飛び立った『アビトロンv2.0』は、手元のコントローラーで非常に簡単に操縦でき、初めての記者でもすぐに楽しむことができた。同じラジコン模型でも、ヘリコプターの操縦は難しいが、この『アビトロンv2.0』なら、誰にとっても操縦の心配は無用である。
遊んでいて、驚かされるのは、操作できる距離が長いこと。はるか遠くまで飛んでいっても、しっかりと操縦できて戻ってくる。その到達距離は、約100mにも及ぶのだそうだ。バードウォッチングの双眼鏡で、その飛ぶ姿を観察したくなるほどの距離なのである。

コントローラーには、単3電池が6本入る。本体は充電式で、このコントローラー充電アダプターを起こして、本体を差し込んで充電する。
そして、ここでもまた驚きなのが、その充電時間の短さである。
何と、わずか約12分の充電で、約8分の飛行が楽しめるというのだ。まさにターボチャージである。昨今はやりのラジコンヘリコプターのおもちゃは、充電に30分、飛行時間5分というのが平均的なので、それに比べると、本当に省エネ設計であることがわかるだろう。

飛ばしてみて、左右のバランスが悪く、どちらかに曲がってしまうときは、翼にアルミシールのウエイトを貼る。そうすることで、まっすぐ飛ぶようになる。
また、予備の羽が2枚同梱されているが、本体が軽く、しかもしなやかなので、落下しても壊れるような気がしない。飛行中に操作を止めても、ヘリコプターのように、真下にドンと落ちるのではなく、多少は滑空するので、落下の衝撃も少なそうである。

また、尾翼は上下に5段階に動かすことができ、立てるとゆっくりと飛ぶので室内向き、寝かすと飛行速度が上がり広い場所や屋外向きとなる。
ただ、本体が非常に軽いので、屋外で遊ぶときは、風の弱い日を選ぶこと。この“小鳥”の力では、強い風に立ち向かうのは無理である。

記者の住む高原は、風が強く、雪が多く降るので、外で飛ばして撮影することがなかなか出来なかったが、ようやく晴れて、風が少し弱くなった日に飛ばしてみると、本当に気分がいい。
まるで、自分がこの『アビトロンv2.0』に乗って、下界を見下ろしながら飛んでいるような気分にさせられたのである。
上の写真でもわかるだろうが、飛んでいる姿は、まるで本物の鳥のよう。通りかかった人たちも、珍しそうに、このバイオニックバードを目で追っていた。

この『アビトロンv2.0』、税別価格は1万4000円だが、ネットでの実勢価格はおおむね税別1万1000円前後となっている。

また、フランスのXTIM社では、この『アビトロンv2.0』を進化させ、スマホでより精密にコントロールできる新機種 「Bionic Bird The Flying APP©」を開発中で、本年まもなく発売となりそうだという。
この情報は、京商のHPでトピックスとして発信されているので、興味のある方はぜひチェックして欲しい。いずれは、この機体にHDカメラを登載して、映像ストリーミングなどもできるようにアップデートするようである。
空を飛ぶことは、やはり人間の永遠の夢なのだろう。『アビトロンv2.0』を飛ばして遊んでいると、そんな夢を少しだけ、叶えてもらった気分になるのである。