アプデされたフラッグシップEVを公道試乗! 韓国ヒョンデ ア...の画像はこちら >>

最新バージョンのアイオニック5を徹底チェック。住宅地や狭い路地などでの取り回しも試してきたぞ

世界中で高い評価を受けているEVが、韓国ヒョンデのアイオニック5。

昨年11月にマイチェンを受けたが、いったいどこが変わったの? 注目点は? 公道に引っ張り出し、その実力にじっくり迫ってみた!!

* * *

■日本市場で苦戦する韓国ヒョンデ

過去、日本市場にマッチングせず、撤退を余儀なくされた韓国の大手自動車メーカー・ヒョンデ。リベンジとばかりに再上陸を果たしたのは撤退12年後の22年2月。なおヒョンデは販売店を持たず、テスラのようにオンライン販売のみとなっている。

そんなヒョンデの日本市場での売れ行きはどうか。JAIA(日本自動車輸入組合)の発表によると、昨年の輸入車販売台数の1位はメルセデス・ベンツで5万3195台。一方、ヒョンデは618台で20位であった。自動車専門誌の元幹部が解説する。

「現状、メルセデス・ベンツの牙城を脅かすには至っていません。しかし、ヒョンデは29年に現在の10倍以上の年間販売台数を日本市場で目指しており、今年4月には、新型コンパクトEVのインスターを発売するなど精力的です」 

アプデされたフラッグシップEVを公道試乗! 韓国ヒョンデ アイオニック5は滑るように駆け抜ける!!
ヒョンデ アイオニック5 価格:523万6000~613万8000円 ヘッドライトの形状は独特。SFのアニメから飛び出したような外観。公道を走っていると、けっこう注目を浴びた

ヒョンデ アイオニック5 価格:523万6000~613万8000円 ヘッドライトの形状は独特。SFのアニメから飛び出したような外観。公道を走っていると、けっこう注目を浴びた

今回試乗したのは、昨年11月にアプデされたアイオニック5。ヒョンデのフラッグシップEVである。

いったいどんなクルマなのか。

「アイオニック5の世界累計販売台数は34万台を軽く突破しています。世界各国で高い評価を受けており、自動車関連の賞を総なめ状態です。昨年6月にハイパワー版のアイオニック5Nが日本市場に投入され、同11月に初の改良が施されましたが、外観は改良前と比べてそれほど大きな変更はありません」

アプデされたフラッグシップEVを公道試乗! 韓国ヒョンデ アイオニック5は滑るように駆け抜ける!!
ボディサイズは全長4655㎜×全幅1890㎜×全高1645㎜。超ダイナマイト級のボディである

ボディサイズは全長4655㎜×全幅1890㎜×全高1645㎜。超ダイナマイト級のボディである

というわけで、実車とご対面! デカっ! 思っていたよりもダイナマイトボディであった。狭い日本の道路でこのボディは持て余すのでは......。

しかし、そんなモヤモヤをぶっ飛ばしてくれたのが、アニメから飛び出してきたかのようなチョー近未来的な見た目。ちなみにデザインコンセプトは〝時間を超えた価値〟。正直言って週プレ自動車班には高尚すぎてよくわからないが、男心をギンギンに刺激する外観だ。

アプデされたフラッグシップEVを公道試乗! 韓国ヒョンデ アイオニック5は滑るように駆け抜ける!!
外観同様、コックピットもEVらしく近未来的。「子供っぽい」という声もあるが、男心は膨らみっぱなし

外観同様、コックピットもEVらしく近未来的。「子供っぽい」という声もあるが、男心は膨らみっぱなし

アプデされたフラッグシップEVを公道試乗! 韓国ヒョンデ アイオニック5は滑るように駆け抜ける!!
シートは本革。室内は広い。特に後席は大人が足をシッカリ伸ばせ、ゆったりくつろげる

シートは本革。室内は広い。
特に後席は大人が足をシッカリ伸ばせ、ゆったりくつろげる

コックピットに滑り込むと、目に飛び込んでくるのは、ふたつ並ぶ12.3インチの大型ディスプレー。実にメカメカしい。EVらしくボタンやスイッチは少ない印象。

ハンドルの右側に設置されたコラムレバー式のシフトセレクターをDにしてクルマを走らせる。乗り心地はふわっと柔らかい感じ。ドライブモードは、エコ、ノーマル、スポーツを選べ、ハンドルのパドルシフトで回生ブレーキ(モーターを使用して減速すること)の利きを調整できる。

アプデされたフラッグシップEVを公道試乗! 韓国ヒョンデ アイオニック5は滑るように駆け抜ける!!
EVの文字が書かれた部分を開けると、収納スペースと、インバーターが目に飛び込んでくる

EVの文字が書かれた部分を開けると、収納スペースと、インバーターが目に飛び込んでくる

今回の改良では遮音性を高めたそうで、室内はめっちゃ静か。走っていると、モーターなどの音も聞こえないし、風切り音やらロードノイズもシッカリと抑え込まれている。アクセルを踏んでも野蛮な感じは一切ナシ。大人が安心して乗れる仕上がり。特に高速道路では直線もコーナーも滑らかに駆け抜けてくれる。

とはいえ、前述のとおり魅惑のダイナマイトボディ。

住宅街や狭い路地では、けっこう緊張した。もちろん、慣れの問題もあるが......。

自動車誌の元幹部はアイオニック5についてこう語る。

「今回の改良の最大のポイントは従来モデルから航続距離が延びたこと。モデルにもよりますが、フル充電時の航続距離は最大703㎞(WLTCモード)。電欠の心配もなく、遠出も可能です」

つまり、アイオニック5は巨大バッテリーを積んでいるという話だ。

「それもあって、アイオニック5は決してお手頃価格とは言えません。昔から日本市場ではドイツ勢が強い。仮に欧州EVとアイオニック5が競合したら、苦戦を強いられるのは言うまでもありません」

加えてヒョンデの日本市場での戦略も足かせだという。

「昨年、中国大手自動車メーカー・BYDは日本市場で2383台をマークしました。BYDの躍進は日本市場に根を下ろし、リアル店舗を着々と増やしています。正直、ヒョンデのようなオンライン販売のみだと日本市場では厳しい。

アイオニック5は魅力的なクルマですし、もっと売れる可能性を秘めているので、日本戦略を見直すべきでは」

世界中で絶賛されるアイオニック5。果たして今後、日本市場で売れるか。

取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾

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