レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、高級中華料理店・聘珍樓の運営会社と、その関連会社が破産手続きを開始したことが先日話題となりました。
横浜中華街の聘珍楼は、タレントとしても活躍した周富徳さんが総料理長を務めていたことでも知られています。「炎の料理人」と呼ばれ、平成時代に数々のテレビ番組に出演した周さん。関連アイテムと共に、その人気ぶりを振り返ります。

「食の魔術師 周富徳の調理用品」木柄北京鍋(お玉付き)。アイドル並みの大きな写真。柄に名前が焼き入れてある


真っすぐカメラを見つめる目ヂカラと、高いコック帽が印象深い周さんは、平成初期にテレビ東京の『浅草橋ヤング洋品店』に出演しました。
それまでも料理番組の出演はありましたが、この番組の人気コーナーである「中華大戦争」で、譚彦彬さんや金萬福さん、弟の周富輝さんたちとバトルを繰り広げ、広い世代から認識されるようになります。放送の翌日は、小学生でさえも中華シェフたちの話題で持ち切りになるほどでした。

キャラ絵をあしらったエプロン。上のところはチャイナボタンのイラストになっている
また、平成初期におけるエンタメ性の高い料理番組のひとつである『料理の鉄人』(フジテレビ)にも出演し、和の鉄人・道場六三郎さんと戦います。料理番組に出演しつつも、クイズ番組からバラエティ番組まで幅広くメディア露出をされていました。

名前の入ったチャーハン皿

キーチェーンマスコット。周企画と書かれたタグがついている
料理本も多数出版し、果ては自身の半生を描いた漫画が連載されるほどです。書籍以外にも、周さん監修の調理グッズが多数発売されました。しかも、そこには「食の魔術師」のキャッチコピーと共に、周さんの顔写真がデカデカと入っているのです。
さらには、自身を3頭身ほどの立体キャラクターにしたキーチェーンも発売。料理人の枠を超え、完全なタレントグッズそのものです。
周さんが活躍したのは、Jリーグが開幕してブームになった時期。当時の小学生は「料理人がJリーグを観戦しています。それは誰?」という問いに、「周富徳(シュート見とく!)」と返して爆笑していました。今こそ平成の料理バラエティ番組を思い出しましょう!
撮影/山下メロ