黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にApp...の画像はこちら >>

「Nothing Phone(3)」各12万4800円から。本体背面にガラス素材を採用したシースルーデザイン、モノトーンを基調としたNothing OSなど同社ならではのテイストが満載。
背面カメラの横に配置されるLEDディスプレー「Glyphマトリックス」は各種通知の表示やミニゲームが可能。メイン画面やバイブ機能以外で通知を行なうのも同社端末の特徴だ

近年、どのメーカーも似たようなデザインになりがちなスマホ業界。そんな中、本体はスケルトンで、OSはモノトーン基調というデザインが世界的に人気となっているスマホメーカーがNothing。その推しポイントやオトクな購入方法を紹介します!

【とがりすぎデザインが注目の新興メーカー!】

本体背面はスケルトン仕様、OSのUIも一般的なスマホとはかなり異なるデザインを採用する「Nothing Technology」のスマホ。

テレビCMやネットの動画広告では見かけないけど、SNSのタイムラインにはチラチラと登場し、近年ではワイヤレスヘッドホンやスマートウオッチも展開中。そんな新興メーカーの実力をITジャーナリストの法林岳之(ほうりん・たかゆき)さんに解説してもらいます。

――Nothingはどんなメーカーなのでしょうか?

法林 2020年にイギリス・ロンドンを拠点にして創業されました。創業者のカール・ペイCEOは中国出身で1989年生まれ。2013年に北米を中心に人気のスマホメーカー「OnePlus」を創業し、その後スマホ業界からエンジニア、さらに掃除機で有名なダイソンのデザイナーらを引き入れてNothingを立ち上げました。

ですから、Nothingはデザインだけをウリにしたスタートアップ企業ではなく、スマホやウエアラブルデバイスの開発・製造に関しては相当な技術力を持っています。

ここ10年ほど、スマホ業界で話題になる製品は、大手メーカーとその傘下のサブブランドがほとんどでした。その中で、Nothingは25年の初頭には売上累計が10億ドルを突破。

これは新興のスマホメーカーとしては異例の数字です。

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「Nothing Headphone(1)」各3万9800円。老舗オーディオブランド、KEFと共同開発。アクティブノイズキャンセリングや外音取り込みなどを搭載しつつ、本体はやはりシースルーデザイン。物理キーでの操作性を重視するのがいかにもNothingなフラッグシップモデル!

「Nothing Headphone(1)」各3万9800円。老舗オーディオブランド、KEFと共同開発。アクティブノイズキャンセリングや外音取り込みなどを搭載しつつ、本体はやはりシースルーデザイン。物理キーでの操作性を重視するのがいかにもNothingなフラッグシップモデル!

――カール・ペイCEO、若手だし、やり手なのが際立ってますね!

法林 CEOだけでなく、エンジニアをはじめとするスタッフも若手中心です。テレビCM、インフルエンサーへの案件、動画広告などは積極的に行なわず、自社のSNSから情報を発信。そこでユーザーと交流して、製品開発に反映していくという独自の戦略が展開する国や地域の若い人たちに受け入れられています。

その一例が、アーティストやユーザーの意見を取り入れて開発されたスペシャルモデル「Community Edition」の存在です。Community Editionは定期的に発表され、昨年は日本でも発表イベントが開催されたのですが、お客さんは若者が中心でした。

普通、スマホやガジェット関連のイベントの客層はほぼおじさんですから(笑)、Nothingのイベントはちょっと異様な空間になってましたね。

――となると、現状のNothingのユーザーは若者が中心?

法林 Nothingに取材すると、ユーザーの半数以上が30歳以下とのことです。Nothingが提唱する「ワクワクするテクノロジー」が着実に若い世代に広まっていると言えるでしょう。

――では、ワクワクするテクノロジーとはどういった部分で製品に反映されているのでしょうか?

法林 まず、外観のデザイン。シースルーデザインと呼ばれる背面が透けているデザインは、ほかメーカーの端末とはまったく別物です。

そして、アイコンやウィジェットなどがモノトーンで統一されたNothing OS。おじさん視点だと「アイコンを色で判別できないから、使いづらい」と感じることもありますが、多くの若いユーザーにとっては「カッコいい!」という認識なんでしょうね。

そして、各種通知に光を使うことも特徴です。端末の背面には「Glyph(グリフ)インターフェース」というLEDライトやLEDディスプレーが搭載されていて、各種通知を行なうことができます。

本体前面のメインディスプレーを見ることなく、ある程度の情報を確認できる機能ですね。フィーチャーフォン時代はライトで通知をするのは当たり前でしたが、スマホから入った世代にとっては新鮮なインターフェースとなっています。

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
背面カメラの横に配置されるLEDディスプレー「Glyphマトリックス」は各種通知の表示やミニゲームが可能

背面カメラの横に配置されるLEDディスプレー「Glyphマトリックス」は各種通知の表示やミニゲームが可能

――確かに、この機能は〝スマホとちょうどいい距離感〟を構築できそう。常にスマホをチェックするというルーティンを見直すには最適かも!

法林 あえてユーザーからスマホを遠ざけるという哲学もあって開発された機能なんです。かといってNothing製品が、ほかのメーカーに比べてスペックダウンされているということはありません。

搭載されるチップセット、RAMやストレージ容量などは誰もがストレスなく快適に扱える水準で、カメラに関しても手ブレ補正、暗闇撮影やマクロ撮影など十分なスペックです。

ただ、カメラに関しては、アプローチがほかのメーカーとは異なります。現在、多くのスマホメーカーは「〇〇倍ズーム」や「◯◯◯万画素」と数字的なスペックを重視します。一方、Nothingではモノクロで35㎜フィルム調に撮影できるフィルターなどが用意され、自分でオリジナルフィルターを作ってそれを共有することもできる。

こういった独自機能、本体やOSのデザインを含めたワクワクできる部分が、「Apple以上にAppleっぽいな」と感じますね。

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「Nothing Phone(3a)」5万4800円から。背面に3眼カメラを搭載するミドルクラスの端末。防塵・防水性能、おサイフケータイも搭載される

「Nothing Phone(3a)」5万4800円から。背面に3眼カメラを搭載するミドルクラスの端末。防塵・防水性能、おサイフケータイも搭載される

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
(左)Nothing Technologyのカール・ペイCEOは2020年に同社を創業。(右)Nothing Technology日本法人の黒住吉郎氏。ソニー、Appleなどで製品を手がけたスマホとウエアラブルデバイスのプロ!

(左)Nothing Technologyのカール・ペイCEOは2020年に同社を創業。(右)Nothing Technology日本法人の黒住吉郎氏。ソニー、Appleなどで製品を手がけたスマホとウエアラブルデバイスのプロ!

――そんなNothingは、日本上陸でどのような製品開発を行なっているんでしょうか?

法林 日本に上陸したのは22年で、昨年からは発売される端末がどれも「おサイフケータイ」に対応しています。おサイフケータイは日本独自の機能で、メーカーは〝日本仕様〟を開発することの負担から、非搭載にすることもある機能です。

しかし、Nothingはカール・ペイCEOが数週間日本に滞在した際、Suicaなどのタッチ決済を体験し、おサイフケータイを実装した日本仕様の開発を決定しました。CEO自らがこういった決定を下すのは珍しいケースですし、日本仕様をしっかり開発できるのも、Nothingが大手メーカーと同等レベルの技術力がある証しでしょう。

また、ソニーでスマホやワイヤレスイヤホンなどの音響機器の開発を行ない、Appleでも製品担当を歴任した黒住吉郎氏が日本法人のマネージングディレクターに就任したことも、迅速な日本仕様の開発とマーケティング面で大きいと思います。

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「Nothing Phone (3a)Lite」各4万2800円。同社ではエントリークラスのモデルになるが、ディスプレーは6.77インチの大画面を採用。防塵・防滴性能、おサイフケータイやeSIM対応など日本版独自の機能を搭載する、日常使いが快適な高コスパ端末!

「Nothing Phone (3a)Lite」各4万2800円。同社ではエントリークラスのモデルになるが、ディスプレーは6.77インチの大画面を採用。防塵・防滴性能、おサイフケータイやeSIM対応など日本版独自の機能を搭載する、日常使いが快適な高コスパ端末!

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「Nothing Ear(3)」2万5800円。アダプティブノイズキャンセリング、外音取り込みなど基本機能が充実。ケースにもマイクが搭載されて通話やボイスメモ、さらにはNothing Phoneシリーズと連携してChatGPTシリーズの音声操作も可能!

「Nothing Ear(3)」2万5800円。アダプティブノイズキャンセリング、外音取り込みなど基本機能が充実。ケースにもマイクが搭載されて通話やボイスメモ、さらにはNothing Phoneシリーズと連携してChatGPTシリーズの音声操作も可能!

【Nothingの弱点とは!?】

――現在、キャリアモデルとしては楽天モバイルが独占販売をし、それ以外は直販から購入するのが基本となるNothingのスマホ。オトクな買い方とは?

法林 まず、楽天モバイルは独自の割引があり、さらに限定色も販売されています。1月に発売した新モデル「Nothing Phone(3 a)Lite」は直販ECだと4万2800円ですが、楽天モバイルは3万2890円。独占販売なだけに、かなりのサービス価格になっています。

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「CMF Phone 2 Pro」各4万2800円から。Nothingのサブブランドとして24年から日本に上陸したCMF by Nothing。各商品にデザイン面で統一性を持たせつつ、スマホは防塵・防滴でおサイフケータイに対応。4万円台でもしっかり日本仕様になっているのにも注目!

「CMF Phone 2 Pro」各4万2800円から。Nothingのサブブランドとして24年から日本に上陸したCMF by Nothing。各商品にデザイン面で統一性を持たせつつ、スマホは防塵・防滴でおサイフケータイに対応。
4万円台でもしっかり日本仕様になっているのにも注目!

黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「CMF Watch 3 Pro」1万3800円

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黒船スマホ「Nothing」大研究。「Apple以上にAppleしてる」新興メーカー
「CMF Headphone Pro」1万5800円

「CMF Headphone Pro」1万5800円

――今後は楽天モバイル以外の3キャリアが、Nothingを採用することもあるのでしょうか?

法林 KDDIとソフトバンクは十分に可能性がありますが、NTTドコモはn79という5G周波数帯を利用しており、これに対応した〝ドコモ仕様〟の端末を開発する必要があります。

このn79に対応するには、グローバルモデルの基板をほぼ丸ごと換装するぐらいの改良が必要です。しかし、近年のNothingの勢いを見ていると「意外とやれるんじゃない!?」と思えてしまいますね。

そして、こういった面でも黒住氏が在籍していることが大きい。黒住氏は楽天モバイルでのキャリアもあり、日本のキャリアモデル事情を知り尽くしていますから。

――デザイン的にとがった面が注目されがちですが、ビジネスや開発面ではしたたか路線のNothing。スマホと同様に実用スペックも快適な各種ウエアラブルデバイスにも注目ですよ!

取材・文/直井裕太 撮影/法林岳之

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