国民的アイドルグループと呼ばれたAKB48が誕生して20年、現役のメンバーたちは何を思い、どんな活動をしているのか? パーソナルヒストリーを掘り下げる連載「なんで令和にAKB48? Season2」。第9回は2014年4月3日にチーム8の大阪府代表メンバーとしてデビューした永野芹佳。
【小さい頃から芸能人として生きたいって気持ちが強かったです】
――最初にAKB48人生でのターニングポイントを聞いています。
永野 コロナ禍に大阪から上京したときです。それまで東京で活動するときはホテルに泊まっていたんですけど、行き来ができなくなって、お仕事が一気に減ってしまい......。ずっと実家にいたい気持ちはあったんですけど、今後どうなっちゃうんだろうって不安もあって。やっぱり活動のほうが大事だなと急いで上京しました。
――小さい頃はどんなコだったんすか?
永野 めっちゃ泣き虫で大人しかったです。一人っ子で、母が私のそばから離れるとすぐ泣いちゃうような。家にいることも多かったですし、人前で何かをするっていうのが本当に苦手でした。
でも小学2年生のときに親が習い事をさせようって、ダンススクールの体験に行かせてくれたんです。消極的な性格だから、踊ったりできないかもって親は思っていたらしいんですけど、私が「すごい楽しかった」と言ったので、習わせてくれました。
――レッスンは厳しかった?
永野 月に1回テストがあったり、競争が激しいスクールではありました。芸能に特化したスクールだったので、ファッションショーのモデルオーディションを受けてみたり。
たまたま関西コレクションを見に行って、ランウェイを歩く長谷川潤さんがめっちゃカッコよくて、当時の憧れでした。
――ご両親は永野さんを芸能へ進ませたいという気持ちがあったんですかね?
永野 そうですね。オーディションの資料を持ってきてくれたり、よく履歴書に貼る写真を撮ってくれたり。最初は親の言う事だからって感じだったんですけど、途中からはおしゃれして写真を撮られる楽しさを知ってしまって、自分もハマっていきました。
――確か賞を取っていましたね。
永野 今も続いているキッズモデルのコンテストがあるんですけど、そこで連続して賞をいただきました。なので、将来は芸能人として生きていきたい思いは強かったです。
小学5年生のときにテレビ番組のオーディションに合格して、東京の事務所に入ったんです。しばらく大阪から通いながら、モデルさんのお仕事をさせてもらってたんですけど、契約期間が終わってしまって。
それまではマジメだったから、お仕事があるとき以外はすぐ家に帰って宿題をして、夜ご飯を食べて寝るみたいな生活をしていたんですけど、そこで普通の小学生の楽しさを初めて知って。放課後に友達と遊ぶとか、めちゃめちゃ楽しくて。
――普通の生活もいいなと。
永野 前田敦子さんが大好きで、選抜総選挙に投票していました。ただ自分はモデルさんになりたいと思っていたから、アイドルになることには興味なくて。
中学校もマジメに通っていたんですけど、CMでAKB48のチーム8のオーディションがありますって流れてきたんです。各都道府県からAKB48が選ばれますって、すごい魅力的だなと思ったし、親も勧めてくれて、久しぶりにオーディションを受けてみようかなって。自分がまだどれぐらいできるか知っておきたかったというのもありました。
――大阪のオーディションって倍率がすごい高そうですよね。
永野 結構人数もいましたね。でも私のエントリーナンバーが8番だったんですよ。そこでご縁を感じちゃって、自信満々でオーディションを受けましたね。
――オーディションで覚えていることってありますか?
永野 エントリーナンバー7番のコがダンスも歌も上手で、このコには負けないぞって思って。ずっと一緒だったから仲良くなって連絡先も交換して、「どっちが選ばれるだろうね」って話もしていて。
【『PRODUCE 48』は一番のどん底時代でした】
――AKB48に入ってどうでしたか?
永野 合格発表のときに「人生変わりますけど、大丈夫ですか? 覚悟ありますか?」みたいな電話が来て、どんな世界なんだろうと思いましたが「はい。
――どの辺が変わったんですか。
永野 特に立ち位置があることですね。公演の立ち位置、イベントの立ち位置とか、いろいろあって、自分次第でポジションが変わってしまう。すごい大変なんだなって思いました。
――確かに人数がたくさんいるし、お仕事によってポジションは様々ですよね。チーム8として全国から47人が集まってどうでしたか?
永野 めちゃめちゃ緊張していて。女のコだけだし、難しい人間関係とかあるのかなって思っていたんですけど、まったくそんなことなくて。「みんなで頑張ろうね」みたいな感じだったから安心しました。
あと、みんな可愛かったです。世間では「チーム8の初期はイモだった」って、よく言われてるけど。
――それぞれ都道府県の代表ですもんね。永野さんも芸能をやっていたわけですし。
永野 最初は今よりギラギラしていました。芸能の世界の厳しさも小さいながらに痛感していたので、「絶対に負けねぇ」みたいな気持ちではいましたね。「常に前に立つぞ」みたいな。ダンスにも自信があったので。
――実際に永野さんはチーム8も前列にいましたもんね。チーム8って最初はAKB48と違う活動をしていたじゃないですか。
永野 なので、最初の数年は自分がAKB48って感覚はあまりなかったかもしれないです。劇場公演もチーム8だけだし、先輩と交わることが本当に少なかったので。
でも恵まれてましたね。
――地元のお祭りにも参加してましたよね。
永野 もちろんファンの方も来てくれるんですけど、チーム8やAKB48を知らない方々にも見てもらえる機会だったので、どうやったら目に留めてもらえるかみたいな考えでいました。あと今だから言えますけど、スタッフさんに媚(こび)を売って(笑)。イベントで必ず1回は大人の人に話しかけようとか。そのおかげもあってか、全国ツアーは一番出させてもらいました。変なひいきとかではなく、積極性を評価してくれたんでしょうね。
――スタッフをファンにするのも立派な努力ですから! 2017年4月にチーム4との兼任メンバーになることが発表されました。
永野 山田菜々美ちゃんや(中野)郁海とか、渚ちゃん(坂口渚沙)が、先輩チームと兼任していたのを見て、うらやましくて。当時はすごさ=仕事の量だと判断していたので、兼任はお仕事が増えるじゃないですか。だからめっちゃ嬉しかったです。
すごい劇場を大事にされている(村山)彩希さんとか(岡田)奈々さんとか、先輩の背中を見て、こういうふうに頑張っていけばいいんだって学べた4年間でした。チーム4の公演をきっかけに好きになって、今も応援してくださるファンの方もたくさんいらっしゃるので、兼任できてよかったなと思います。
――2018年には日韓合同のアイドルグループを作るオーディション番組『PRODUCE 48』に参加しています。
永野 一番のどん底時代ですね。韓国からすぐに帰ってきた組で、ファンの方ぐらいしか行っていたこと知らないかもですけど、初めての挫折だったかも。そこまで興味なかったけど、「オーディション受けてみたら?」みたいな感じで行ったら受かってしまって。
行ってみたらすごい過酷で。韓国の練習生のレベルの高さに合宿初日から心が折れて、「もう帰りたい」ってなってました。自信がなくなって、沈み込んでしまって。「もうAKB48を辞めてやる」とまで思っていました。
永野 成人式をAKB48でやりたかったんですよ。憧れがあったので、せめてそれを達成してから辞めようって思ってました。
――当時は神田明神に全国の48グループが集まって盛大にやっていましたもんね。『PRODUCE 48』でプラスになったことは?
永野 韓国の芸能のレベルの高さとか、メイクとか、パフォーマンス面も知ることができたのは、自分の中で学びになりましたね。ただ当時は反抗期もあったのか、すべてをネガティブにとらえちゃって。日本に帰ってきて唯一の楽しみがチーム8の活動で、それに助けられました。
でも『PRODUCE 48』のおかげで、すごい強いメンタルが育ったと思って、何が起きてもへこたれなくなりました。
――最初にターニングポイントと言っていた上京ですが。
永野 チーム4と兼任していた時期の最後ぐらいですね。コロナ禍で限られたメンバーしかステージに立てず、他はリモートみたいな。家にいると携帯をめっちゃ見ちゃうし、他のメンバーがどういう活動をしているのかわかっちゃって。私は家で何をやっているんだろうと思いました。お仕事で東京へ行ったタイミングで、親にも相談せず不動産屋に行って、「家賃安めで引っ越したいんですけど」と相談して、すぐに決めて。
――親の反対はなかったんですか?
永野 すごい驚いていましたけど、反対させないような言い方っていうか。「ここにいてもお仕事ないから、こんな家に住む、もう決めているからって。初期費用も家賃も払うから大丈夫」と伝えて出て行きました。(後編に続く)
【連載「なんで令和にAKB48?」は木曜日更新。新公演の話や、今のAKB48に対しての思いなどを語る後編は4月16日公開!】
●AKB48
2005年(平成17年)12月8日、秋葉原のAKB48劇場で1期生お披露目。
2025年12月4日に21期生がデビュー!
67thシングル『名残り桜』が好評発売中! 22期生オーディション開催、応募は5月24日まで! 最新情報は公式ホームページをチェック。
●永野芹佳(ながの・せりか)
2001年3月27日、大阪府出身
身長158cm
Nickname=せりちゃん
公式X【@akb48serika】
公式Instagram【@iroziro_serika】
取材・文/関根弘康 撮影/持田薫

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