「クロダ」の名を格ゲーマーたちの間に広めた『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』。今回は、このゲームとの出会いについて語ります!

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■帽子の魔人がフルボッコに

――前回は、草加のゲーセン『遊’s』(ゆうず)でのライバルたち、「マッチョ」や「帽子の魔人」について語ってもらいました。
では、今度こそ『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』(以下、3rd)について聞きたいと思います。まず、『3rd』と出会うまでは、どんな格ゲーをプレイしていたんですか?

クロダ 『月華の剣士2(以下、月華2)』とか、『餓狼 MARK OF THE WOLVES(マーク オブ ザ ウルヴス、以下、餓狼MOW)』とか。『ザ・キング・オブ・ファイターズ‘97(以下、KOF‘97)』を触っていた頃は「攻めまくる」のが基本だったけど、このふたつのゲームだとそれは通用しなかった。

手数を少なくし、間合を見極め、隙をうかがう、居合いを使う侍のようなプレイスタイルに変わりました。

――そして、その後『3rd』(1999年5月より稼動開始)に出会った。

クロダ いや、稼動後、2年間くらいは触っていませんでした。
ただ、『月華2』や『餓狼MOW』を触りにゲーセンをふらついていたら、帽子の魔人が『3rd』でフルボッコにされていました。相手は「ありさかしんや」さん(連載第1回目参照)。あと、シルベスター・スタローン似の「本村」さんも。あの魔人が、何もできずに完敗していたのは衝撃的な光景だったのでずっと頭に引っかかってはいましたね。

――それで、『3rd』を始めてみようと思ったんですか?

クロダ それもあるんですけど、やり始めた理由はありさかさんに勧められたのが一番の理由ですね。それで始めてはみたんですけど、上手いプレイヤーの試合をいっぱい見て、脳内シミュレーションをしようにも、なかなかできなかった。


――なぜ?

クロダ 年齢の問題です。ゲーセンは18時以降、16歳未満は入れないルール。でも、上手い人が店に来るのは18時過ぎがほとんどだったから、たまにしか試合を見れなかった。年上のありさかしんやさんを“実兄の保護者”に偽装して居座ろうとしたけど(※)、店にバレて失敗した(笑)。だから、ゲーセンじゃなくって、ゲームショップに置いてある筐体で『3rd』のCPU戦をひたすらやっていました。

※ゲーセンは保護者同伴でも16歳未満は18時以降立ち入り禁止です!

『ウルトラストリートファイターIV』


10先ガチバトル(前編)


クロダ(リュウ) VS えいた(豪鬼)


[embed width="600"]http://youtu.be/7xiawNzk5cA[/embed]


■「リキ」との出会い

――はじめて『3rd』をプレイした感想は?

クロダ 『3rd』はキャラに“重さ”があるのがよかった。


――重さとは?

クロダ キャラの体格によって、挙動がまったく違ったんです。人間だったら当たり前だけど、当時のゲームだと『3rd』ぐらいしか表現できていなかった。

――そこからハマっていったと。

クロダ それでも『KOF‘97』のときのようにのめり込むことはなかった。でも、大会には出ましたね。ありさかさんに誘われて、松原団地のゲーセンの大会に出場しました。
まあ、完敗しましたよ。基本も何もできていなかったから。

――では、『3rd』にハマるようになったきっかけは?

クロダ ありさかさんに、「『リキ』がすげーぞぉ~。お前も、『リキ』のQ(※)を見ろよぉ~」(クロダ渾身の声マネ)って言われてたんです。そしたら、リキが『遊’s』に来ていて、対戦を見る機会があったんです。その時ですね。


※『3rd』に登場するキャラクター。高い攻撃力と防御力を有するが、その反面、移動速度が遅く、攻撃の際の隙も大きい。上級者向けのキャラとして知られている。

――リキさんと言えば、当時における『3rd』のトッププレイヤーですよね。

クロダ そう。リキはQ使いで、とにかくガードがしっかりしていた。
ガードして、いなして反撃するパターンがバシバシ決まっていた。プレイを見てやっていることはわかったけど、当時はフレーム(※)なんて気にしていなかったから、どうやったらリキのような立ち回りができるか理解できなかった。ただ、そのプレイを見ながら“格闘ゲームはまだまだ奥が深い!マッチョがいなくなった喪失感を埋められるかも”って思った。

※ゲームにおけるアクションの、所要時間を表す単位。ゲームによって異なるが、現在の格闘ゲームは「1フレーム(1F)」=1/60秒(約0.016秒)が主流になっている。格闘ゲームにおける行動(攻撃、防御、移動など)の所要時間は、基本的にフレームで表す(例:『ウルトラストリートファイターⅣ』において、リュウの「昇竜拳」はコマンドを入力してから技が発生するまで、3Fの時間を要する)。フレームの知識は、対戦における駆け引きの最も重要な要素であり、これを覚えることが“格闘ゲーム上達の基本”である

『ウルトラストリートファイターIV』


10先ガチバトル(後編)


クロダ(リュウ) VS えいた(豪鬼)


[embed width="600"]https://www.youtube.com/watch?v=H32KoZiqWJI[/embed]


■一心不乱に「CPU戦」

――それからどんな修行を?

クロダ まず、初めて格闘ゲームのムック本を買いました。全キャラの「フレーム表」が載ってるヤツ。それを読みながら、リキの立ち回りを脳内でトレースしていった。そうしたら結構、簡単に再現できた。

――簡単……なんですかね? で、クロダもQ使いになろうと?

クロダ まあ、その時は単純にQしか使えるキャラがいなかったんです。Qは反射神経だけでなんとかなるから、そんなに難しいとは感じなかった。

――その後は本格的な対人戦に?

クロダ いや、フレームを覚えた後もひたすらCPU戦です。一心不乱にやっていたから、周りも声を掛けづらかったんじゃないかな。

『ウルトラストリートファイターVI』


10先ガチバトル「感想戦」


動画を見ながらクロダとえいたが対戦を振り返ります。


[embed width="600"]http://youtu.be/2rc97IzqFEQ[/embed]

Next Battle


VS トミナガ on 『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』

■クロダ


1986年東京都・池袋に生まれ、足立区で育つ。28歳。格闘ゲームの全国大会『闘劇』における『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』部門の2008年(豪鬼)、2010年(ケン)、2012年(オロ)大会で優勝(カッコ内は使用キャラ)。


好きな女優は墨田ユキ(80年代後半~90年代前半にかけて活躍したセクシー女優)と言うので、本連載の担当編集は彼女の“お宝ヌード”を掲載した「週刊現代」(2014年5月10、17日号)をプレゼントした。明らかに時代がズレている

■えいた


『ストリートファイターIV』シリーズからメキメキと頭角を表した格闘ゲーマー。オーストラリアで開催されている格闘ゲームイベント『Shadowloo Showdown 2012』の 『スーパーストリートファイターIV アーケードエディションVer.2012』部門で優勝(使用キャラは豪鬼)するなど数々の戦績を残している。また近年では『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』でも活躍中

取材・文/直井裕太


撮影・動画編集/下城英悟


動画撮影協力/ゲームプラザGAO北千住店


ゲームプラザGAO北千住店


http://gao.or-hell.com/


@GAO_Kitasenju

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