そんなときにあなたの味方になるのが書店員さんたちだ。本のソムリエ、コンシェルジュとしてあなたを本の世界に誘ってくれる書店員さんたち。
そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい本を3冊答えてもらうのが毎週水曜日に配信する、この「わたしの3冊」だ。【「わたしの3冊」バックナンバーはこちらから】
さて、2011年一発目のテーマは『思わず表紙買いしてしまうかも? 装丁が素晴らしい3冊』! 今回は東京・吉祥寺の名物書店、ブックス ルーエの花本武さんに選定して頂いた。
◆『えーえんとくちから 笹井宏之作品集』
著者:笹井宏之
出版社:パルコ
定価(税込み):1680円
26才で夭逝した歌人の作品集です。
絶対埋もれさせるわけにはいかない、
という編集委員の方々の熱意が、
装丁に結実しているようです。
といっても「ガチ」な感じではなく、
笹井氏のやわらかくデリケートな言葉運びを
よりスムーズに読者に届けるために
最良なツールを目指した、
といった趣です。
角が丸くて、やや細長く、カバーの質感は、
手になじむ。
ブックデザインは編集委員としても
名を連ねる名久井直子さん。
いい仕事しますね~
◆『明日また電話するよ』
著者:山本直樹
出版社:イースト・プレス
定価(税込み):1395円
エロスの果ての果てを
彷徨い、一周しちゃって、
お土産に普遍的な物語を
纏ってしまったような漫画家。
山本直樹氏。
その短篇作品を精選したシリーズの
第一弾目が本書。
カバーの色使いがお見事としか言い様なし。
水色にしては、にごって見えるが、
どこか澄んでもいる。
本屋で実物を見ていただきたい。
生は性であり、死をも暗示させる。
寝ているスクール水着の少女は、
健康的であり、破滅的だ。
白抜きのタイトルフォントには、
ある種の格調を感じる。
このシリーズ3弾ある中で、
抜群にこれがぐっときます。
この手の職人的ブックデザインは、
もちろん鈴木成一デザイン室。
いい仕事しますね~
◆『キルヒャーの世界図鑑―よみがえる普遍の夢』
著者:ジョスリン・ゴドウィン、翻訳:川島昭夫
出版社:工作舎
定価(税込み):3045円
一目見ただけで、
只事じゃない本だとわかる。
ルネサンス期の幻想科学者。
アタナシウス・キルヒャー。
まだ世界が自明のものでは、
なかった頃に妄想力で、
世界を自明たらさんとした男。
彼の著作には奇怪なイラストが満載だった。
どれをとってもとにかく「変」だ。
そして抜群に面白い。
眼の快楽がここにある。
そのワクワク感の入り口が
明解に造本として顕れている。
まずは裏表紙を見てほしい。
「なんじゃこりゃ?」
天才に挑んだブックデザインの天才、
祖父江慎さん。
いい仕事しますね~
◇ ◇ ◇
【今回の書店】
■ブックスルーエ
昭和11年創業以来、吉祥寺の街と共に歩んできた「ルーエ」。吉祥寺の名物書店として有名です。書棚を見るとバラエティ豊かな書籍が並んでおり、立ち寄って眺めるだけでも楽しい書店です。
今回3冊を選んでくださった花本さんは2F(文庫・新書・学習参考書・児童書)担当。ですが、文庫や新書に捉われないユニークなフェアを展開し、フリーペーパー「ルーエの伝言」を編集。
■住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-3
TEL:0422-22-5677
■アクセス
吉祥寺駅中央口から徒歩2分(中央口正面のサンロード商店街を直進、進行方向右手)
■営業時間
AM9:00~PM10:30
■ウェブサイト
http://www.books-ruhe.co.jp/index.htm
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