エールディヴィジ(オランダ1部)のNECは10日、同クラブのトップチームに所属するU-20日本代表FW塩貝健人について、オーストリア・ブンデスリーガ(同国1部)のザルツブルクへの移籍が破談となったことを発表した。

 塩貝については、オランダ『フットボール・インターナショナル』など複数のメディアによって、今夏の移籍市場でザルツブルク移籍へ近づいていると報じられていた。
同メディアによると、塩貝の移籍金はNEC史上2番目に高額な450万ユーロ(約7億4000万円)ほどで、ボーナスなどを含めるとさらに増額となる可能性があったとのこと。このような条件で、オーストリアの強豪加入が間近に迫っていた。

 だが、塩貝のオーストリア行きは土壇場で破談となったとのこと。NECからの発表によると、既報通り、塩貝はザルツブルク移籍に近付いていたものの、先週末の段階で、双方合意のもとで移籍がキャンセルされたという。

 その理由は、メディカルチェックで負傷が判明したため。ザルツブルクは今年6月14日から7月13日にかけてアメリカ合衆国にて開催されるFIFAクラブワールドカップ2025のメンバーに、塩貝を含める予定でいたものの、メディカルチェックの時点でケガが見つかり、同大会への出場は困難だと判断された。この判断により、ザルツブルク側は移籍にゴーサインを出さなかったと伝えられている。

 なお、NEC側はリリースを通して、「お互いの信頼関係の構築、そして移籍においては基盤が重要であることを考慮し、両者は共同で、現時点では移籍を進めないことを決定した。NECとザルツブルクは、このプロセスにおいてオープンかつ建設的な協力関係を築くことができた。そのプロフェッショナルな態度に感謝の意を表している」と発表した。

 現在、ザルツブルクには2名の日本人選手が在籍している。昨年夏にサンフレッチェ広島から完全移籍加入したMF川村拓夢は、2024-25シーズンを通してケガに悩まされたものの、シーズン終盤に復帰しており、FIFAクラブワールドカップ2025での本領発揮が期待される。
もう1名は、今月9日にセレッソ大阪からの完全移籍加入が発表されたFW北野颯太だ。北野と同じく、塩貝もザルツブルクにとってこの夏のターゲットとなっていたものの、土壇場で移籍は破談。FIFAクラブワールドカップ2025での“日本人トリオ”は実現せず、“デュオ”に変更されることとなった。

 塩貝は2005年3月26日生まれの現在20歳。國學院大學久我山高校を経て慶應義塾大学に進学すると、2024年1月には、2027シーズンからの横浜F・マリノス加入内定が発表された。大学在学中の2024シーズンには、JFA・Jリーグ特別指定選手としてプロデビューを飾り、2024明治安田J1リーグ第8節湘南ベルマーレ戦(△2-2)では初ゴールも記録。同年夏、慶應義塾大学の体育会ソッカー部(サッカー部)の退部と、横浜FMとの加入内定を取り消し、NECへの完全移籍を決断した。今シーズンは途中出場が多かったものの、公式戦通算28試合のピッチに立ち、5ゴール1アシストを記録していた。


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