日本代表の2人がアメリカから帰国直後の試合でピッチに立った。
一夜明けた12日、19時キックオフのナイトゲームで大迫はスタメンに入ってフル出場。「日本の時間に合わせて生活しましたけど、あまり寝られなくて、さすがにきつかったです。疲労感はあったし、集中力を維持するところはすごく難しかったです」と振り返った。
ただ、帰国直後の試合でも広島の背番号1は、「出るつもりで準備はしていました」と出番に備えて覚悟を決めていた。
「もちろん疲労はありましたけど、広島のGK、(チョン・)ミンギも(田中)雄大も(ヒル)袈依廉も準備していた中で、自分がこうやって出るからには、時差や疲労を言い訳にはしたくなかったです」
チームは首位の京都を相手に終始攻め続け、荒木の代わりにDF山﨑大地が3バックの中央に入ったDF陣も好守で試合を支配した。GKとしてもピンチはほぼなかったが、1点リードの88分、FWラファエル・エリアスにワンチャンスでDF塩谷司の股を抜くシュートを決められて同点に追いつかれた。
大迫は失点シーンについて、「ブラインドのとこから抜けてきたボールだったけど、手で触っていたので、なんとかかき出したかったですし、あれを防いでこそ自分の仕事なので、それができなくて悔しかったです」と話した。
失点後の後半アディショナルタイム1分には荒木が途中出場。前夜に帰ってきて「よく寝ること」に務めて準備したが、コンディションは「正直良くはなかった」という。さらに、勝ち越しを狙う状況でピッチに入ると、まさかの前線でプレー。
広島は前がかりで最後まで得点を狙ったが、1-1の引き分けで終わった。この日は優勝を争う柏レイソル、ヴィッセル神戸、FC町田ゼルビアも軒並み引き分けで、勝ち点差を縮めるチャンスを逃した。
荒木は、「正直物足りないと思います。もうシーズン終盤ですし、自分たちが優勝する、タイトル穫るってなった時に、ここで勝ち点3を取れないのは、めちゃめちゃ苦しい状況だと思います」と受け止め、大迫は、「他の結果を見て、だからこそ勝ちたかったですし、残りのゲームも少なくなってきて特に勝ち点3の重みが大きくなってくるので、こういった試合を繰り返さないようにしたいと思います」と力を込めた。
広島は中3日の16日に敵地オーストラリアでAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)初戦のメルボルン・シティ戦に臨む。難しい日程が続くが、荒木は「厳しいけど、やらないといけないし、ACLも取らなきゃいけないタイトルなので、しっかり準備するだけです」と腹をくくる。大迫は国を越える移動続きで、「自分が今どこにいるのかわからなくなりそうですけど」と冗談混じりで話しつつ、「でもそれも宿命ですし、楽しみたいと思います」と引き締まった表情で前を向いた。
取材・文=湊昂大