去る2025年9月7日(日)、小学校4年生から6年生のためのフットサル大会『EXILE CUP 2025』関西大会が奈良県の橿原運動公園ヤタガラスフィールド橿原で行われた。男女混成の「オープンリーグ」ではプリモ大阪(大阪府大阪市)、女子のみの「ガールズリーグ」ではALMA GIRLS(兵庫県三木市)が大会を制し、全国大会(9月14日に開催された)への出場権を手にした。


 2010年に株式会社LDH JAPANが〈Dreams For Children 子どもたちに、夢を。〉をテーマに創設したこの大会は、今年で13回目の開催。関西大会には株式会社LDH JAPANからSocial Innovation Officerの橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)、松本利夫さん(EXILE)、LaKiの上村梨々香さんと永山椿さんが応援に駆けつけた。また、EXPG STUDIO OSAKAのメンバーも“共に夢を追いかける仲間”としてダイナミックなダンスで選手たちにエールを送った。

 当初は台風15号の影響も懸念されたが、大会当日は朝から晴れわたり、午前9時前には気温30度に迫る好天。開会式では松本さんが「夢を持って頑張ることは本当に素敵なことですが、とにかく暑いので体調管理やケガに十分気をつけて」と呼びかけ、上村さん、永山さんもこまめな水分補給を促した。

 ウォーミングアップはEXILE TETSUYAさん監修、サッカーの動作を取り入れた「クラッキ!ダンス」。音楽に乗って体を動かすことに照れた様子の選手も多かったが、ジャンプ、サイドステップと進むうちに動きが大きくなり、最後は笑顔で“勝利のポーズ”を決めた。

 オープンリーグでは44チームが11ブロックに分かれた4チーム総当たり戦の予選リーグが行われた。『EXILE CUP』は経験の浅いチームから全国大会常連の強豪まで、幅広いチームが参加できる。そのため大差がつく試合も見られたが、最後まで持てる力を発揮しようと立ち向かう選手たちの姿は、応援する人たちの胸を打った。

 上位を目指す強豪チームにとっては、全3試合の予選リーグで体力の消耗を防ぐため、選手交代のタイミングや水分補給、休憩の取り方も重要な戦略の一つ。
予選リーグ各ブロックの1位と、2位の成績上位5チームの計16チームが一発勝負の決勝トーナメントに進む。

 決勝トーナメントでは試合時間も予選リーグの7分ハーフから5分ハーフへと短縮され、ピッチ上には一秒たりとも気を抜けない緊張感が漂った。

 高い集中力が求められるなか、印象的な試合を展開したのは2015年、2016年と『EXILE CUP』全国大会で優勝したEDC(大阪府枚方市)だ。地元の大声援を受ける郡山フットボールクラブ(奈良県大和郡山市)を相手に前半で0-1とリードされ、後半も押され気味の展開。しかし、残り1分となったところで値千金の同点弾を挙げると、同点のまま迎えたPK戦では、GKが2連続ストップの活躍を見せて逆転勝利を飾った。準々決勝では『EXILE CUP 2024』全国王者のセンアーノ神戸(兵庫県神戸市)に1-2と競り負けたものの、観客の記憶に残る印象的な活躍だった。

 準決勝では、昨年の関西大会でベスト4を争ったディアブロッサ高田FC A(奈良県大和高田市)とプリモ大阪の再戦が実現。前半から攻守が激しく入れ替わる展開となり、関西大会のレベルの高さを象徴する好ゲームとなった。プリモ大阪は、チームを牽引する村井智哉くんが自陣での守備からそのままゴールを狙うなど攻守に活躍。ダイナミックなボレーシュートを披露するなど会場を沸かせ、チーム2点目のゴールを奪って勝利を引き寄せた。

 対するディアブロッサ高田FC Aは自陣からパスをつないでチャンスをうかがうスタイル。ベンチから「人を見ろ」「追い越せ」の声が飛び、選手たちはその指示に応えて何度も相手陣内に入り込む。
しかし最後までゴールは奪えず、プリモ大阪が前年の雪辱を果たした。

 決勝では、そのプリモ大阪がセンアーノ神戸と激突。選手たちはEXILEの楽曲「VICTORY」をBGMに入場すると、円陣を組み「行くぞ!」と気合いを入れてピッチに散らばる。この試合ではセンアーノ神戸が主導権を握ったが、先制したのは粘り強い守りを見せたプリモ大阪だった。

 後半開始1分、プリモ大阪の村井くんが貴重な先制ゴールを挙げ、雄叫びを上げて仲間と喜び合う。勢いを得たプリモ大阪はさらに、相手GKがセーブしたこぼれ球を押し込んで追加点。試合終盤にはドリブル突破からのゴールでスコアを3-0として、決勝大会の切符を手にした。

 真剣なまなざしで勝負を見守っていた松本さんは「両チームの『絶対に負けられない』思いが見えた試合だった。本気でスポーツに取り組む、その輝きを感じさせてもらった」と両チームを称賛。「プロ顔負けのサッカーで、すごくびっくりした」と驚きも見せた。

 一方、オープンリーグと並行して行われたガールズリーグには、奈良・兵庫・和歌山から計8チームが参戦。オープンリーグでベスト16まで進んだALMA BRANCOの女子チームに当たるALMA GIRLS(兵庫県三木市)が総当たり戦を制し、初代関西女王に輝いた。


 ALMA GIRLSは全勝で大会を制したものの、準優勝の北摂ガールズ(兵庫県伊丹市)、3位の長尾台ガールズサッカークラブ(兵庫県宝塚市)、4位の奈良葛城ガールズ(奈良県葛城市)との試合はすべて1点差。ゲストの橘さんや松本さんも驚いたという「男子顔負けの激しいぶつかり合い」が各試合で展開された。

 内容的にはどこがタイトルを取ってもおかしくない僅差の戦いに、女子サッカー初観戦というLaKiの永山さんは「男子と変わらず全力でプレーしていてかっこよかった。憧れの存在になりました」と目を輝かせた。


 ALMA GIRLSを率いる岡崎チアゴ監督によると、実は「女子だけで大会に出るのはまだ3回目」だという。試合を怖がる選手もいるなか、優勝の立役者となったのは西関花さん。普段は男子のチームに入って「付いていく」立場だが、この日は自らがキャプテンとして仲間を引っ張った。

 岡崎監督は「このチームでは花がエース。意識を変えて! みんなに前向きな声をかけてあげて!」と西関さんに自覚を求め、熱い言葉でチームを鼓舞。試合後は「出ずっぱりで、一番大事なところで点も決めてくれた」と小柄なキャプテンをねぎらい、「女子だけで全国大会に行ける機会はそうない。思う存分、楽しんでこよう」と話した。

 関西大会は強豪ひしめくオープンリーグに加え、今年から新設されたガールズリーグによって例年以上の盛り上がりを見せた。
橘さんは「ケガ人もなく、いい試合がたくさん見られた。ガールズリーグがある分、他の地域より試合数が多く、熱気も高まった。子どもたちが最後まで楽しそうに頑張る姿に刺激を受けました」と振り返った。また、女子チーム特有の円陣パフォーマンスには驚かされたそうで、「関西の子たちはみんなすごく元気! 試合前の盛り上がりは女子ならではのコミュニケーションというか、気持ちの高め方なんだろうな」と笑顔を見せた。

 プリモ大阪の矢野健介監督は関西大会を振り返り、「4年生から4対4で監督のいないサッカーに取り組み、岡田武史さんが言う主体性、自分で考え動く能力が高い選手がそろっている」と勝因を分析。全国大会に向けても「関西のノリを発揮して、楽しくやってきたい」と意気込みを話してくれた。

取材・文=根本いづみ 写真=座間 雄貴
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