“キング・オブ・キングス”。
 全国各地区のチャンピオン10チームが聖地・今治へ一堂に会した。


 株式会社LDH JAPANが主催する、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会『EXILE CUP 2025』。決勝大会の舞台は今年も愛媛県今治市・アシックス里山スタジアムとなった。2025年9月14日、全国9地区10会場で争われた各地区オープンリーグの優勝チームと、今年から新設され関東・東海・関西大会で開催されたガールズリーグの代表が集まり、頂点の座をめざして競い合った。

 決勝大会には大会アドバイザーを務める元日本代表監督の岡田武史さんが駆けつけたほか、LDH JAPAN Social Innovation Officerの橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)、EXILE NESMITHさん、EXILE SHOKICHIさん、ダンス&ボーカルグループKID PHENOMENONに所属する夫松健介さんと山本光汰さんなど、豪華な顔ぶれが会場に集い、子どもたちの勝負を見守った。

 これまでの地方大会を見届けてきた橘ケンチさんは、大会に先立って「皆さんは各地区大会を勝ち抜いてここへやって来たと思いますけど、試合に負けて悔しい思いをした選手たちもたくさんいます。そういう人たちの思いも背負い、今日は一日楽しんで頑張ってほしい」と挨拶。優勝をめざして真剣に戦いながらも、サッカーを楽しもうというメッセージを選手たちに伝えた。


 男女混合のオープンリーグは、予選リーグとして1ブロック5チームに分かれて6分ハーフの総当たり戦を行い、各ブロックの上位2チームが決勝トーナメントへ進出。決勝トーナメントは7分ハーフのノックアウト方式で争われた。また、女子選手のみで構成されたチームで争うガールズリーグは、関東、東海、関西の3会場の優勝チームに、開催地枠の3チームを加えた6チームが総当たりのリーグ戦で順位が決まる。

 決勝大会がスタートすると、まず会場を沸かせたのは新設のガールズリーグだ。武里SCガールズ(関東代表)、福井丸岡RUCK A(東海代表)、ALMA GIRLS(関西代表)はいずれも男子選手に劣らない個の技術と組織力を見せつけ、ハイレベルな試合を展開。
この3チームに、開催地枠の新居浜Girlsも激しく食らいつく奮闘ぶりを見せ、おのずとリーグ戦は白熱していった。

 中でも観客の目を引いたのは ALMA GIRLSのゴレイロ、中嶋夏海さん。自陣ゴール前でアグレッシブなビッグセーブを連発してチームの堅守を支えただけでなく、要所で果敢にドリブルで駆け上がり、巧みな足技から攻撃の起点となった。チームとして上位に食い込むことはできなかったが、ゲームを通じて確かな存在感を示し、「みんなで協力し合い、全力を出せて良かった」と笑顔を見せた。


 優勝を争ったのは武里SCガールズ、 福井丸岡RUCK A、新居浜Girlsの3チーム。いずれも優勝の可能性を残したままリーグ最終戦に突入し、武里SCガールズと新居浜Girlsの直接対決は互いに一歩も譲らず2-2でタイムアップする。一方、福井丸岡RUCK Aは堅守のALMA GIRLSを前に攻めあぐねる展開を強いられながら、後半に自慢の組織力で2点を奪い、初代女王の座を射止めた。

 福井丸岡RUCK Aの筧慎一コーチは「ピッチに出ている子どもたちが責任を持ってプレーし、ベンチの子どもたちも良い声かけをした。チームみんなで勝ち取った優勝」と教え子の奮闘を称賛。キャプテンの田中愛美花(あみか)さんも「みんなで協力してプレーできた」とチームプレーを一番の勝因に挙げた。ガールズリーグ2位は武里SCガールズ、そして開催地枠で参加した新居浜Girlsが大健闘の3位に食い込んだ。

 一方、2ブロックに分かれて戦ったオープンリーグでは、攻撃陣の圧倒的な突破力を武器にしたFCヴォルティーダ沖縄ジュニアA(九州1代表)がAブロックを首位通過。
Bブロックは巧みな連係プレーで組織としての成熟ぶりを見せつけたプリモ大阪(関西代表)が安定感のある戦いで全勝した。この2チームに加え、暁星アストラジュニア(関東代表)、田宮ビクトリーサッカー少年団(四国代表)が各ブロックで接戦の末、得失点差でライバルたちを上回って決勝トーナメントに滑り込んだ。



 決勝トーナメント準決勝ではプリモ大阪が暁星アストラジュニアと対戦。常に主導権を握ったプリモ大阪は、後半立ち上がりに鋭いカウンターから先制点を挙げると、その直後にも追加点を奪って決勝へと駒を進めた。

 もう一方の準決勝は、田宮ビクトリーサッカー少年団がFCヴォルティーダ沖縄ジュニアAを相手に、開始早々に先制点を奪う。しかし、FCヴォルティーダ沖縄ジュニアAは冷静さを保ち、前半のうちに同点に追いつくと、後半に豪快なミドルシュートを決めて逆転に成功。試合終了間際にもダメ押しゴールを挙げて決勝へ弾みをつけた。

 各ブロック首位通過同士の対決となった決勝戦は、“個の力”に優れたFCヴォルティーダ沖縄ジュニアAに対し、プリモ大阪が“組織”で対抗。それぞれの強みを出し合い、頂点を決めるにふさわしい好ゲームとなった。

 序盤、プリモ大阪が主導権を握りながらポスト直撃の決定機を作れば、その直後にはFCヴォルティーダ沖縄ジュニアAが強引な突破からゴールへ迫るなど一進一退の展開。その後も張り詰めた緊張感のなか、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。

 均衡が破られたのは前半終了間際。
息の合ったコンビネーションで相手守備網を切り崩したプリモ大阪は、ゴール前へのラストパスを村井智哉くんが正確にフィニッシュしてゴールネットを揺らす。プリモ大阪は追加点こそ奪えなかったが、FCヴォルティーダ沖縄ジュニアAの猛反撃を堅実にいなす試合運びを見せる。そして無失点のまま時計の針を進め、ついに歓喜の瞬間を迎えた。

 殊勲の優勝ゴールを決めた村井くんは「今大会はどのチームも強くて勝てるかどうかの瀬戸際の試合が続きました。(決勝戦では)コースが見えたので思い切ってシュートを打ちました」と自分のゴールを振り返った。ビッグタイトルを獲得した自信を胸に「中学校でも活躍して、プロになれるように頑張りたいです」と大きな夢を言葉にした。

 プリモ大阪を指導する矢野健介監督は「この子たちはこれまでに大きな舞台を経験してきました。おかげでこういう大きな大会でも力を出し切り、主体性を持ってプレーができました」と語り、教え子たちの目覚ましい成長を称えた。

『EXILE CUP 2025』のオープンリーグは、昨年に続き関西勢の2連覇となった。ただし、大会全体を見れば、どのチームが勝ってもおかしくないハイレベルな戦いの連続。さらに、新設されたガールズリーグも大きな盛り上がりを見せ、大会の歴史に新しい1ページを加えた。

 競技終了後は毎回恒例となっているフレンドリーマッチも開催。
決勝大会に参加した選手たちが選抜チームを組み、元日本代表監督、岡田武史さんが率いる「TEAM OKADA」と対戦。それまでの真剣勝負とは打って変わって和やかなムードのなか、69歳の岡田さんも自らピッチに立つ場面もあった。

 ほかにも、決勝大会を見守った橘ケンチさん、KID PHENOMENONの夫松健介さんと山本光汰さんといったゲスト陣が加わり、世代を越えて同じボールを追いかける。“子どもたちが夢を叶える場所”という理念にふさわしく、子どもたちの笑顔とともに、13回目の『EXILE CUP』は幕を閉じた。

取材・文=松本 隆志 写真=垂水 謙庄
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