サンフレッチェ広島は4日、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)・リーグステージ第4節で江原FC(韓国)をホームに迎えて1-0の勝利を収めた。

 ルヴァンカップ優勝で5つ目の星をつかんだ3日後、悔しさを抱いていたFW加藤陸次樹がホーム凱旋のピッチで輝いた。
先発出場した加藤は、後半開始直後の49分にFWジャーメイン良からのラストパスでペナルティエリア内に抜け出し、GKとの一対一のチャンスを迎えたが、このシュートは枠を捉えきれず。

「今年1番いいパスがジャーメイン選手から来たので、ちょっとびっくりしたのもありますけど、久しぶりの一対一とはいえ、確実に決めないといけなかったし、常に練習していた形なので、決められなかったのは非常に悔しいです」

 63分には、相手DFのパスがズレたところを「バックパスを狙うのは個人的に好きなプレー」という加藤が狙い通りカット。ペナルティエリア右で相手GKもかわしてシュートを打ったが、戻ったDFに惜しくもブロックされた。それでも、相手のクリアをペナルティエリア中央のジャーメインが収めてボレーシュート。これもGKにセーブされたが、こぼれ球に加藤が反応した。

「(最初のシュート後は)切り替えたというより、『やってしまったな』っていう感じで、ゴール前に残って頭を抱えていたけど、そこに運良くボールがこぼれてきたので、そこは奇跡でした」

 目の前にGKはいたが、背番号51は「相手にぶつけるぐらい勢いよく打てば入るかなと思って、とりあえず思いっきり打つことだけを考えていました」と左足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

「最初のシュートを外したことでショックは大きかったですけど、ただジャーメイン選手がいい感じでシュートを打ってくれましたし、そのこぼれを決められて良かったので、すごくうれしいです」

 約2カ月ぶりの得点となった加藤は、「他にチャンスもあったので、欲を言えばまだまだ決められましたし、もし外して引き分けたり負けたりしていたら僕のせいですし、決めるか外すかで変わってきたと思うので、個人としては運も味方してくれたと思います」と振り返った。

 大きな先制点を得た広島だが、70分にキャプテンのDF佐々木翔が2枚目のイエローカードを受けて痛恨の退場となった。数的不利となり、佐々木がいた3バックの左にはMF東俊希が投入され、その交代でピッチを後にした加藤は、「残っている選手に頑張ってくれっていう願いを込めて見ていました」と仲間にあとを託した。

 広島は前半から相手のフィジカルやスピードを活かした攻撃に手を焼き、加藤も「(海外チームの)アグレッシブなサッカーにもっと慣れていかないといけない」と課題を指摘。時間が進むにつれて相手の激しいコンタクトや厳しいジャッジも増え、アジアのタフな試合を強いられたが、ピッチで戦った10人全員が最後まで粘り強く守り、ホームで意地の勝利を収めた。

 3日前の決勝戦でラスト約10分のみの出場だった加藤は、中2日の激闘で決勝点を挙げて勝利に貢献。
「ルヴァンカップも出場時間が短くて非常に悔しい思いをしたので、今日こうして点を取れて少しはアピールになったと思いますし、残りのシーズンでまた出場時間があった時には結果で示していきたいです」と活躍を誓う。

 ルヴァンカップ優勝の直後に厳しい試合を勝ち切り、さらなるタイトル獲得に向けてラストスパートが始まった。広島を勢いづけた加藤は力強く言った。

「星は何個あってもいいと思うので、僕は星のために全力を尽くします」

取材・文=湊昂大
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