ジェフユナイテッド千葉は13日、明治安田J1昇格プレーオフ2025の決勝で徳島ヴォルティスを1-0で破り、2009シーズン以来17年ぶりのJ1復帰を決めた。試合後、千葉のOBである元日本代表FW巻誠一郎氏が報道陣の取材に応じ、古巣へエールを送った。


 巻氏は『千葉テレビ』にて生中継された同試合の解説を担当しており、中継終了後に報道陣の前に姿を見せた。千葉にとってクラブの歴史に残る一戦を、地元局で解説したわけだが、「解説はしてないですね」と巻氏。すかさず、「いや、してたはしてたんですが、正直、ずっと(千葉を)応援してました。ジェフ贔屓が過ぎちゃいましたね」と言葉の真意を明かすと、「冷静になると、ちょっと(解説者としては)ヤバいかもしれない」と、“古巣愛”が全開だった自らの解説に対して反省の弁を述べていた。

 そんな巻氏は千葉の一員として、2008シーズンに“フクアリの奇跡”を経験している。千葉の本拠地『フクダ電子アリーナ』で行われた当時のJ1リーグ最終節・FC東京戦、70分過ぎまで0-2とビハインドを強いられながら、74分から85分までに4得点を奪い、4-2と逆転勝利。他会場の結果を踏まえ、一時は絶望的だと思われていた残留を成し遂げたが、同試合は今もなお、“フクアリの奇跡”として語り継がれている。

 奇しくも、17年後の今シーズン、明治安田J1昇格プレーオフ2025の準決勝では、再び“フクアリの奇跡”が起こった。千葉は後半立ち上がりの時点で、RB大宮アルディージャに0-3と敗れていたものの、71分にFWカルリーニョス・ジュニオの得点で反撃の狼煙を上げると、その後は77分にMFエドゥアルド、83分にMF姫野誠、87分にDF河野貴志がゴールを奪い、4-3と逆転勝利を達成。史上稀に見る劇的な形で、決勝の舞台に駒を進めると、徳島戦でもカルリーニョス・ジュニオがプレーオフでの連続ゴール(※J2第38節を含めると3戦連発)を奪い、千葉は17年ぶりのJ1復帰を決めた。

 かつてフクアリで“奇跡”を起こした側だった巻氏は、「あの経験があったから、(今回も)最後までサポーターの皆さんやチームが諦めなかったと思う」と口にする。今回は“奇跡”の目撃者となったが、「今度は、『この試合があったから』と言われるようになるだろうし、諦めそうなシーンでもまた戦い続ける。
そんなジェフであり続ける。すべてが大切な歴史の一部ですし、そうやってクラブとしてより大きく強固になっていくものだと思っています」と語った。

 古巣のJ1昇格を受けて、巻氏は「今回の経験とJ1昇格は、このクラブにとって新しく、大きな一歩になるのではないかなと思いますし。これが一歩だけで終わるのではなく、力強く前に歩み続けられるような、そんなクラブであってほしい。そう思って、僕は応援しています」とエールを送った。
 
 巻氏は駒澤大学卒業後の2003年に千葉へ入団。その後、7シーズン半にわたって千葉で活躍を続け、FIFAワールドカップドイツ2006の日本代表にも選出された。千葉では公式戦通算269試合出場68ゴールを記録。2005シーズンと翌06シーズンには、Jリーグヤザキナビスコカップ(現:JリーグYBCルヴァンカップ)の2連覇にも貢献した。


【ゴール動画】カルリーニョス・ジュニオが値千金の先制弾!

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