サンフレッチェ広島は9日、新監督就任記者会見を本拠地のエディオンピースウイング広島で行い、バルトシュ・ガウル新監督が「チームのために、若手の育成のために、それからもちろん勝利するために、自分のできることを最大限に生かしていきたいです」と意気込みを語った。

 ドイツとポーランドの国籍を持つ38歳のガウル監督は、2008年からシャルケやマインツの育成年代で指導者のキャリアを積み、2022年から2023年まではグールニク・ザブジェ(ポーランド)のトップチームを指揮。
2024年にはライプツィヒでユースフットボールダイレクターに就任し、2025年からは同クラブのトップチームでアシスタントコーチを務めていた。

 栗原圭介強化部長は今回の監督選びのポイントとして、「スタイルの進化」、「若手の育成」、「ビジョンへの理解」の3つを挙げて説明した。

「まず1つ目は、これまでサンフレッチェ広島が築いてきたスタイルを変えず、そこからさらに成長させてくれる方にポイントを置いて探しました。彼がグールニク・ザブジェで監督をしていたときの試合を見させていただきましたし、AIを使ったデータ分析もしました。過去3、4年のサンフレッチェのスタイルと同じような数値が出ているサッカーをする指導者の中で、バルトシュのサッカースタイルが候補に上がってきました」

「これまで通り、守備に関しては前からプレッシングをかけてアグレッシブに前に前にサッカーをするところ、インテンシティも高く、切り替えも早くというところは変えず。ただ、攻撃に関しては昨年得点が取り切れなかった部分もあるので、改善が必要だと感じていました。彼がやるサッカーは攻撃に関して、選手が流動的にポジションチェンジし、ポゼッションを大事にしながらも前へ前へとボールを運んでいくサッカーが見られたので、今までのスタイルを継続したまま、より攻撃的なサッカーができると思いました」

「2つ目は、『育成の広島』として、これまでのようにアカデミーを大切にし、若手を成長させながらトップチームでも活躍させることを変わらず続けていきたいと考えています。もちろんプロとして結果を求めてほしいですが、育成部門に関しても一緒に関わって見てもらえる方、そして試合に出ていない若い選手に対してもマネージメントができ、一人ひとりに目を向けて、試合に出てる出てない関係なく、選手それぞれを成長させてくれる方を求めていました」

「3つ目は、攻撃的なスタイルを掲げ、今のチームをより成長させ、育成を大事にしながら結果と成長を両立させていく、そうしたビジョンを理解してくれて、共感してくれて、一緒に仕事をしてくれる人が大きなポイントでした。今のスタイルを進化させ、育成を大切にし続けること、それを一緒にやり遂げられる人にお願いしたい中で、今回バルトシュ監督に来ていただくことになりました」

 広島からオファーを受けたガウル監督は、「育成で力を発揮してきたことを評価してくれたと思いますし、自分がやってきた仕事を評価してくれたことには本当に感謝しています」と喜びを感じつつ、「実際に自分が行ってみないとわからないところもあった」として、昨年12月中旬に広島を訪問。街やクラブの雰囲気を体感した上で、契約へのサインに至った。

「広島に実際に来て、雰囲気や人の温かさを感じて、街も安全で綺麗に整理されていて、本当に素晴らしい場所だと自分の肌で感じ、もう間違いないと自分の直感を信じました。改めて広島という街に来られて幸せですし、ここで仕事をできることを本当に誇りに思っています」

 新体制は9日から始動し、指揮官は全体練習の前に選手たちに「みんなで1つになって何かを成し遂げることを強調しました」とチーム一丸での戦いを呼びかけたという。


「もともとある広島の文化、チームの文化、スタジアムの文化を大事にしながら、その上にさらにみんなのポジティブなエネルギーやチームスピリットを積み上げていき、もっと成長していって大きなことを成し遂げようと話をしました」

 最初の練習を終えて、「本当に素晴らしい雰囲気をみんな持っていて、さらにそこにポジティブなエネルギーを乗せてできれば、間違いなく成長していけるという話をアシスタントコーチのアーネ(・ヤンセン)ともしました」とさっそく手応えも感じている。

 指揮官自身も成長に貪欲だ。欧州から遠く離れた異国の地で言語や文化の違う環境に飛び込む決断を下したガウル監督は、「自分とって本当に大きなチャレンジですし、新しい国で、新しい地で、新しい文化に触れてチャレンジするのは本当に大きな意味があると思っています。どんなに小さなことでも吸収していく気持ちを持っているので、自分も成長していきたいと思っています」と力を込める。

 若くしてすでに20年近くキャリアを積んできて、指導者として大切にしているのは、「コミュニケーションを取ること」。人間関係を重んじることが信条だという。

「選手だけじゃなくて、クラブのスタッフ、コーチ、それぞれで役割がある中で、人として付き合っていくことを大事にする監督でありたいと思っています。自分自身がコミュニケーションを取ることが好きですし、疑問や疑念のないような状態で選手とコミュニケーションを取りながら、お互いにオープンに自分のことを話して、相手のことを聞いて、1つの方向に向かって進んでいくのが自分の監督としてのスタイルです」

 38歳の指揮官が掲げるのは、「魅力的なサッカー」。まずはスタジアムに来てくれる観客を魅了すること。そのために、攻撃的でアグレッシブなサッカーを貫く。

「スタジアムの雰囲気がすごく良くて、この雰囲気を作っているのはスタジアムに来るお客さんたちだと思います。そうしたお金を払ってサッカーを見に来てくれる人たちに報いるためにも、やっぱり攻撃的で魅力的なサッカーを見せないといけない。
そのために、相手チームがこのスタジアムに来たときに、もう二度と広島とは戦いたくない、もう絶対にピッチには入りたくないと思わせるぐらい圧倒し、恐怖やプレッシャーを与えることができるような、アグレッシブで攻撃的なサッカーをやりたいと考えています」

 広島は前日8日、新加入選手の記者会見を実施し、1年で復帰となったMF松本泰志、新戦力のFW鈴木章斗とGK大内一生、ユースから昇格したMF小林志紋とGK小川煌の5名が出席して意気込みを語った。さらに、DF志知孝明など期限付き移籍からの復帰組も含めた選手30名がガウル新監督とともに半年間の明治安田J1百年構想リーグを戦う。
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