とりわけ気がかりだったのは、総失点57というリーグワースト3位の数字だ。「シゲさんはアビスパ(福岡)の時は攻撃より守備に重きを置いていて、『失点しないサッカー』を実践していましたけど、フロンターレは『守備より攻撃』のチーム。その分、昨年は失点数が多かったのだと思います」と指揮官と福岡で2年間共闘し、今季川崎Fに加入した紺野和也も神妙な面持ちで言う。
攻守のバランスを確実に修正し、「点が取れて守り切れるチーム」へと変貌できれば、百年構想リーグでの頂点も見えてくる。その請負人の一人に指名されたのが、東京ヴェルディから赴いた谷口栄斗である。1999年生まれの谷口は、ジュニア時代から東京Vに在籍。同期には藤本寛也がいる。ユースからトップに昇格した盟友とは違い、谷口は国士舘大学を経て、2022年から古巣でプロ入り。
そういった選手が移籍を選ぶというのは一大事。本人は先月19日の発表時に「悩みに悩んで決断しました」とコメントを出したが、胸中は非常に複雑だったという。
「ヴェルディは小学生からお世話になったチームですし、移籍のサインをした後も『自分、本当に出るんだ』という現実なのかも分からないような不思議な感覚になりました。でも、自分はもう26歳ですし、今年27歳なので、サッカー選手としての寿命はそう長くない。限られた時間の中でチャレンジしたいという気持ちと、タイトルを取りたいという思いが強かった。評価を一段階上げて、殻を破りたいと考えました。それに一人の選手、一人の人間として成長するためには、外の世界を見ることが大事。同じ環境にいると、成長曲線が限られてくると思うので、『外に出て成長したい』と感じたんです」
と本人は10日の新体制発表会の際、改めて強い決意を口にした。川崎Fにとっても、これ以上ないと言える補強である。2025年は高井幸大が欧州に移籍し、ジェジェウが退団、車屋紳太郎の現役引退という事情が重なり、DF陣は手薄になっている。
「失点を減らすためには、まず前の選手とのコミュニケーションが大事だと思います。中盤の選手、近い選手との意思疎通が重要ですね。チームのやり方もありますし、そこに対応することも大切になってきます。その上で、厳しさとか際の激しさを伝えていかないといけない。僕がそこをしっかりとプレーで体現できれば、チームに新しい風をもたらせると思っています」と本人も目をギラつかせた。
谷口が東京V時代以上のタフさと激しさ、空中戦のバトルを押し出してくれれば、自ずと失点は減っていくはず。そう仕向けていくことで、近い将来の日本代表入りも現実味を帯びてくるに違いない。“川崎Fの谷口”というと、谷口彰悟(シント・トロイデン)を思い浮かべる人も今も少なくないだろう。偉大な先人は2020・21年のJ1連覇によって、30歳にして日本代表定着を果たし、2022年のカタールワールドカップに参戦。現在も日の丸を背負い、2026年北中米W杯行きを射止めつつある。
そういった前例があるのだから、谷口も2026年W杯以降の新チームで初キャップを飾り、そこから2030年W杯を目指していくことは十分可能なはず。
自ら掲げた目標を達成し、さらに高い領域に到達することで、彼は誰もが認める“川崎Fの谷口”になれる。背番号3をつける長身DFの一挙手一投足が川崎Fの命運を大きく左右する。それくらいのキーマンであることは間違いない。
取材・文=元川悦子

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