「まだ早い」と思ってはいたものの…

端的に内容を説明すると、SENOちゃんの両耳に、ピアッサーを使い、ピアスの穴を開けるというもの。SENOちゃんがピアスに興味を持ったのは2歳の時。ダンス仲間の友だちが、キラキラ光るピアスをつけているのを見て「可愛い!SENOもしたい!」と主張しだしたのだとか。
母・kinariさんは、「さすがに2歳ではまだ早い」という思いがあり、シールを耳に貼る代替案でその場を乗り切った。しかし、やがて本物でないことに気がつかれてしまい、「シールはヤダ!」と駄々をこねるように。
「穴を開けずに済む、イヤリングのようなアクセサリーを買ってあげたんですが、挟む力が強くて、耳に跡が残ったり、痛がったりしていたんです。それなら『むしろ開けてあげたほうがいいのかな』と思うようになって」(kinariさん、以下同じ)
“むしろ”幼稚園のうちに…と考えたワケ

「周囲のママ友に聞いて、今のピアッサーは昔のようにガシャンと怖い音はしないんだと知りました。それから、一緒にダンスをしている6歳のお姉ちゃんとそのママにも痛みやケアについて色々教えてもらいました。それを踏まえて、娘には特に痛みについて話しました。それでも娘の気持ちは変わらなかったので『5歳になったし、開けようか』ということになったんです」
とはいえ、動画には「ピアスは早すぎる」といった趣旨のコメントも多く寄せられている。これに対して、kinariさんには、「むしろ幼稚園のうちに開けておくのが良い」と考える理由があった。
「ピアスを禁止している小学校が多いみたいなんです。小学校に上がるまでにホールを完成させておけば、ダンスや遊びに行く時などにはつけてあげて、学校にはピアスをつけていかなくてもいいので、今だ……というタイミングでもありました」
心無いコメントに対してのアンサーは…

「周囲の友達も似たような動画をあげていて。ほかの投稿よりは見てもらえるとは思っていました。でも、ここまでの再生数になるとは……驚きましたね。SENOは5歳にしては幼い印象があるので、もっと小さな子に開けているように見えるから、目立ったのかもしれません」
再生回数に比例して心無いコメントも増加する。なかには「子供が望んだらなんでもやっちゃう親(中略)、タトゥーも本人が望んだらやらせそう」という声もあるが、これについては真っ向から否定する。
「タトゥーは、18歳未満は法律で禁止されていますよね。もし娘が希望しても当然させません。私は10代の頃から素行が悪くて、自彫りでタトゥーを入れました。しばらくは全く気にしていなかったんですが、やがて恥ずかしくなって皮膚科に行ってレーザーで除去したんです。娘が18歳になって『タトゥーを入れたい』と言ったら、包み隠さず話しますよ」
「アンチコメントを行う人」のことが心配に
辛辣な意見もほかにも。たとえば「ピアスが引っかかって怪我したらどうするんだ」というもの。「周囲に開けている子は多いですけど、『怪我をした』なんて話は聞いたことはなくて……。あまり心配はしていません。細かいことを気にしてたら、ピアスの有無は関係なく、たんに走り回るだけでも危ないですよね」
「アンチコメントを行う人」に対して、思うところがあるか尋ねてみると、意外な返答が。
「乱暴で汚い言葉を使うアカウントを見にいってみると、トップ画像がその人の子供と思われる写真だったんですよ。子供の顔を晒しながら、これだけ再生されている動画に誹謗中傷をコメントしてくるのって、大丈夫なのかなと逆に心配してしまいますね……」
ピアスを開けた後に訪れた変化

「ピアスを開けた後から、野菜が食べられるようになったんですよ(笑)。一段階、大人になったという意識が高まったみたいです。ダンスへの取り組み方も、以前より真剣になりましたし」
憧れるお兄さんやお姉さんと同じくピアスを開けたことが、SENOちゃんにとっては一種のイニシエーションにもなっているようだ。
最後に、kinariさんに「親とは?」という質問をぶつけてみた。
「『子供の人生をサポートする裏方』だと思います。娘のやりたいことが叶うように、黒子として働く感じです。ほぼ毎日通うダンス(習い事)の送り迎えや、衣装の準備もそうです。タレントのマネージャーに近いのかもしれませんね」
=====
親としてのスタンスは、十人十色で正解はそれぞれ違うものであるだろう。SENOちゃんがピアスを開けて嬉しそうにするという、一見可愛らしい動画ではあったが、筆者も「親とは?」を考えさせられる機会となった。あなたは、どう考えるだろう?
<取材・文/Mr.tsubaking>










【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。