こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。
2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。
実は恋愛相談の2~3割は不倫についての相談
前述したように生涯未婚率は上昇していますが、その一方で結婚してもパートナーに満足できず、不倫に走る人も少なくありません。実は筆者への相談内容のうち2~3割程度は不倫についてで、世の中には許されぬ恋に燃え上がっている人々は男女問わず、かなり多いのです。
不倫はその字のとおり倫理に反する行いであり、不法行為にもなりえる行いですが、極論、個々人の価値観で是非を決めるべきものだと考えていますので、肯定も否定もしていません。
パートナー(夫・妻)に対する裏切りですし、家族(親・子)を悲しませるかもしれませんし、相手の家庭を壊してしまう可能性もあり、相手のパートナーから慰謝料請求されるといったリスクもあります。けれど、本人がそれらを承知のうえでしたら、第三者が口を出す問題ではないと考えています。
筆者がそんなスタンスであるため不倫のご相談も多いのですが、双方が既婚者である「ダブル不倫」をしているカップルで、自分たちの関係を「純愛」だと称するケースもよくあるのです。
「純愛」というきれいな言葉でコーティング?
不倫経験がない読者のみなさんでも、お互い離婚して不倫相手との再婚を目指しているダブル不倫カップルであれば、「純愛」と語る心理は理解しやすいはず。また、自分は離婚するつもりでいて、不倫相手にも離婚してもらいたいと考えている場合でも、「純愛」と言い張る気持ちはわかるでしょう。一方、「遊びの関係」と割り切っており、そもそも自分は離婚を考えておらず、相手にも望んでいないのであれば、「純愛」を口にすることはありません。
しかし、自分の家庭を壊したくないので離婚は考えておらず、不倫相手にも離婚を求めていないにもかかわらず、なぜか「純愛」だと堂々と言い切るダブル不倫カップルは、意外や意外、けっこう多いのです。これは不倫経験がない人には理解しにくい心理状態でしょう。
離婚する気はないのに「純愛」と主張する不倫カップルは、自分たちの関係を「婚外恋愛」といった言葉で表現することもあります。
いずれにしても自分の夫・妻を裏切り続けているにもかかわらず、「純愛」というきれいな言葉でコーティングして、自身の行動を正当化しているようにも見えるのではないでしょうか。不倫には無縁の人生を送っている人々から、不快感や嫌悪感を抱かれても不思議ではありません。
共通点は「子どものため」や「夫・妻のため」

たとえば、子どものために成人するまでは両親で育ててあげたいからという主張や、離婚すると経済的に苦しくなり子どもに苦労をかけてしまうからという主張などがあります。
また、夫・妻への恋愛感情はとっくになくなっているものの、家族としての情があるという主張や、離婚を切り出すと相手が精神的に取り乱しそうで心配だからという主張もあります。
これらの理由に共通しているのは、自分以外の家族のためということ。恋愛的に愛しているのは不倫相手だけれど、家族のために自己犠牲的に結婚生活を続ける選択をしたという論法になります。
本当は自分が安定した生活を失いたくないだけなのに子どもを言い訳にして卑怯だとか、本当は世間体を保ちたいだけなのではないかとか、そういったツッコミどころはあります。ですが実際、当事者になれば「純愛」と「家族」を簡単に天秤にかけられないでしょう。
また、「自分は離婚する意思があっても、不倫相手が離婚する気がないため、自分だけ離婚する選択肢はない」というケースもあります。この場合には、相手側の状況が理由となりますが、もし「純愛」だと主張するなら、自分だけでも離婚すべきではないかという批判につながる可能性もあります。
「純愛」の定義なんて明確に決まっていない
離婚はしない前提の「ダブル不倫」なのに「純愛」と言い切るカップル心理、いかがだったでしょうか?不倫はしたこともなければ、するつもりもない人々からすれば、言っている意味を“理解”はできても、その心情に“共感”はできないという心理だったかもしれません。
ただ、そもそも「純愛」の定義が明確に決まっているわけではありません。それゆえになにが「純愛」なのかも人それぞれの価値観によって異なりますので、離婚しないのに「純愛」だという不倫カップルを否定することもできないのです。
<文/堺屋大地>
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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi